予算書などの印刷物の校正作業における鉄則があります。
原本を確定し、校正は当該原本との比較で行うこと。
原本はメートル原器のようなもの。一度確定させたら、校正作業を終えるまで同じものを使い続けるのが鉄則です。
こんな事案がありました。
既存の印刷物を何カ所か修正するので、エクセルで修正箇所と内容を記した一覧表を作成し、当該一覧表との比較で校正作業を行いました。
二校や三校のチェックは、その都度一覧表を打ち出してゲラとの突合を行いました。
修正箇所や内容に異動があったので、その都度一覧表のデータを修正する必要があったのです。
危険ですね!どこが危ないか考えてみましょう。
【デジタルデータの罠】
本来は、既存の印刷物を手書きで修正したものを原本とすべきですが、一覧表を原本として使用するのは、まぁ妥協するとしましょう。
でも私なら、最初に打ち出した一覧表を最後の最後まで原本として使用します。
修正箇所や内容に変更があった場合は、その都度朱書きで訂正。
見た目は美しくありませんが、朱書きされていない箇所を含め、原本としては信用できます。
「パソコンからその都度打ち出したものでも同様では?」
と考えたあなた。デジタルデータの罠をお忘れですよ!
【アナログの確実性】
パソコンから新たに打ち出された一覧表。
データが同じならば原本と全く同じはずです。データが同じならば!
でも、その一覧表には随時修正が施されています。修正作業の際、他の箇所を誤って変更してしまう可能性があります。
共有フォルダに保存されている文書の場合、自分以外の第三者が良かれと思ってデータを変更してしまうリスクもあります。
場合によってはプログラムの不具合でデータがおかしくなってしまう可能性だってまるっきり無いわけではありません。
などと考えていくと、作業の危うさがご理解いただけるでしょうか。
朱書きで原本を訂正していく方法には、そうした危うさがありません。
くしゃくしゃになった原本は信頼の証なのです。
時代はDXなのでしょうけど、校正作業に関しては、「アナログ主義」をおススメします。