「異端のリーダーシップ」に学ぶ

その他
写真提供:宮城県観光戦略課

SONY復活を成し遂げた平井一夫氏の著作を読みました。

自治体職員の皆さんにとっても参考になると思われるところをご紹介します。

 

今回のネタ本は「ソニー再生 変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」」。

異端とあるのは、CBS・ソニーという音楽事業出身の社長だったから。技術のSONYにおいては異例なこと、と受け止められていました。

4年連続赤字という状態で社長に就任しましたが、就任して6年目には7348億円の黒字をたたき出し、同社の最高益を更新しました。

 

印象に残ったのは、組織のトップとしてのリーダーシップのあり方。

ゲーム機事業を手がける子会社の経営再建を手がけた際、自らが人員削減の告知を担ったことを紹介し、

“こんな気乗りしないつらい仕事を人任せにするようなリーダーに、人はついてこない”

と理由を説明します。

 

ハイスペックだが高価格のため販売当初は赤字続きだったゲーム機のコスト削減。

売れば売るだけ赤字で、このままでは会社が潰れかねない危機的状況でした。

平井氏は、エンジニア、資材担当者らが出席する会議に同席します。

“「コストカットをやれ」と命令だけで終わってしまってはダメなのだ”

技術者ではありませんから、会議の中味は分からないことだらけですが、

“ここで「俺は分からないから、後は任せた」では絶対に危機感は伝わらない”

“リーダーがどう振る舞うかで、成果がまったくちがうものになってしまう”

と説きます。

3年後には、価格を4割引き下げることに成功。

最終的には逆ザヤ状態を脱却し、ゲーム機本体の販売で利益が出せるようにまでしました。

 

ソニーの社長に就任してからは世界中を回って、社員とのタウンミーティングを積極的に開催。

6年間で70回以上開催したそうですから、月に1回のペースです。

社長として自らが目指す方向性を共有することが目的。

“社内報やビデオメッセージでは、残念ながら伝わりきらないのではないだろうか”

との考えが根底にありました。

ミーティングでは、自らのメッセージを伝えること以上に社員とのQ&Aを重視した、ともあります。

社員との本当の信頼関係を構築したかったのだそうです。

 

いかがでしょう?

世界的な大企業のお話、と片づけることも出来るでしょうし、自らが所属する組織のマネジメントのヒントにもなるでしょうし。

個人的には後者をおススメいたします。

 

*参考文献

平井一夫「ソニー再生 変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」」(2021)日本経済新聞出版(Kindle版)

タイトルとURLをコピーしました