ある自治体で、職員が全住民約3万人の個人情報を私的な理由で繰り返し不正に取得していた案件。リンク(河北新報オンラインニュース)
これには正直まいりました。事務改善の案が浮かんでこないのです。
困りごとの根幹は、身内の人間による確信的な不正行為であること。
世の中のほとんどの仕組みは性善説を前提に組み立てられています。
身内の不正に対しては極めて脆弱なのです。
これを防ごうとすると、核ミサイルの発射システムのように複数の人間が同時にシステムを操作する、などといった、凡そ実用性の薄い防止策を講じないといけなくなってしまいます。
(映画でそうしたシーンがあったな…といった程度の話です。)
話の根っこは「人」に帰着するのですが、困ったのは、不正行為を働いたことへの自覚が、当事者に全く無いこと。
聞き取り調査に対して、「何が悪いの?」という感じだったと朝日新聞デジタルの記事にありました。リンク
入庁してからの人材育成に至らない点があってそうなったのか、元々そうだったのか…
直感的には後者のような気がしています。
だからこそ、困ってしまうのです。
不正を不正と認識出来ないのですから、これはもう、綱紀粛正の通達や職員研修でどうにかなるといったレベルの話ではありません。
もちろん、今回の事案では懲戒免職と刑事告発という最も厳しい対応が取られています。
が、ポイントは、ひょっとしたら「元々そうだった人」が採用試験に合格し、もしかしたら「入庁後にそうなってしまった人」が長年にわたって公務の現場に在職していた。
このことであります。
今の採用試験の仕組みでは、こうした人をスクリーニング出来ないのだ…
と考えると、愕然としてしまいます。
条件付き採用の期間はともかく、正式採用に至ると簡単には免職出来ません。
消臭剤のCMよろしく、「元から断つ」ことを考えるのであれば、採用試験における適性検査のウェイトを高めるとか、面接官に心理の専門家も組み入れるとか、かなぁ…
などと思考するのがせいぜいであります。
おやじネタについてのささやかな解説
【元から断たなきゃダメ!】
とは、ジョンソンが発売したトイレの消臭剤のCM。
1975年の放送とあるので、念のため、職場で認知度調査を実施しましたが…
昭和は遠くなりにけり、このことであります。