カスハラ対策について

ハラスメント

カスタマーハラスメント、いわゆるカスハラが社会問題化しています。

これを受け、2025年6月には法改正が行われ、企業等にはカスハラ防止のため、雇用管理上、必要な措置を講じることが義務付けられることになりました。

法律の公布日(2025年6月11日)から1年6か月以内に施行予定です。

 

総務省の調査によると、過去3年間に、カスタマーハラスメントを受けた経験については、自治体全体で35.0%とありました。

ほぼ同じ時期の別の調査において、民間企業では10%程度だったとありますから、自治体の場合は3倍以上の高い割合で経験者が存在している、という実態です。

自治体におけるカスハラ対策は、より切実度が高い状況にあると言えましょう。

 

沖縄県うるま市では、企業のカスハラ対策のノウハウを活用する、という方針を立てまして、令和6年3月に独自の対策マニュアルを作成しました。

賢い作戦だと思います。

 

特徴の第一は「窓口対応困難者」という概念を定義付けたことです。

「丁寧また適切な説明を繰り返しているにもかかわらず、不当要求行為により業務に支障を来たし、市職員の精神的な精神的な疲弊の原因となる相談者」

という定義付けです。

 

「具体的な線引きは明らかではない」とした上で、相談者の言い分が「「常識の範囲内」か否かを個人の感覚ではなく組織として判断する」としていて、

「判断が難しいと判断した場合には、早めに上司や関係部署に相談してください」

とあります。

 

特徴の第二は「エスカレーションシステム」というものです。

これは、お客さまへの対応を三つの段階に分けて変えていく、というもので。

一時対応者は職員等、二次対応者は上席、係長、課長等、その次は関係部署となっていて、庁舎管理、保安員、法務、となっています。

 

感心したのは、エスカレーションの「基準」があることです。

1次から2次への基準は、

  • 自力解決が困難
  • 罵詈雑言等を注意してもやめない
  • 30分以上経過しても堂々巡り

 

2次から関係部署への基準は、

  • 大声で叫ぶ、机を叩く等
  • 長時間居座、退去指示が必要な場合
  • 常習的な不当要求行為等

 

となっています。

私、個人的には、こうした基準を設けることが非常に効果的ではないのかな、と感じています。

最初に対応する職員のことを考えると、「30分以上」という数字的に明確な基準がある、というのは大変ありがたいことだろうと思います。

 

個人としての考えですが、不当要求行為への対応におけるキーワードは、

「き然と」そして「組織として対応」。

この2つだと思っています。

 

宮城野区長時代にも何件か面倒くさいケースがありました。

私の場合は、どんな事案でも私の耳に入るようにしていましたから、そうした案件も進捗管理しておりました。

実際、私が出て行って対応したケースも何件かあります。

その際のコツが「組織として対応する」。

このことです。

具体的には、「一対多」の状況を必ず作り出すようにしていました。

仕事の殿を務めるのは管理職の方々の役割です。

どうぞよろしくお願いいたします。

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