カーナビのNHK受信料「未払い問題」に関する私的考察

不適切な事務処理
写真提供:宮城県観光戦略課

カーナビのNHK受信料「未払い問題」について、まとめの意味合いであれこれ考えてみました。

 

まず、公用車の状況ですが、「NHK受信料 カーナビ 未払い」で検索した結果をお知らせします。

千葉県山武郡市広域行政組合が15台、150万円。栃木県那須町が5台、43万円。大阪市が78台、金額協議中。佐賀県江北町が132万円。岡山県が347台、金額不明。山口県萩市が24台、263万円。群馬県が352台、2000万円。長野県が182台。三重県が172台、1400万円。そして、仙台市は76台、730万円…

まだまだ、あるのですが疲れ果てました。

 

私、この件については、東京都がアウト(581台、5100万円)だった時点で、「全滅」なのだろうと感じました。

でも、民間事業者において同様の話を側聞したことがありません。

今回、本腰を入れて検索してみて、「ある仮説」にたどり着きました。

 

この件の発端は、2019年に東京地裁が出した判決にあります。

テレビを所有していない人がワンセグ機能付きカーナビについて受信契約を求められたため、契約の必要はないとして提訴した裁判でした。

これに対して東京地裁は、テレビが見られるカーナビについても、NHKの受信契約を結ぶ必要があるとの判決を下したものです。

 

この時のネット記事リンク(弁護士ドットコムニュース)を読んでみると、公用車における未契約問題の可能性を指摘しつつも、タクシー会社などへの影響について主たる関心がある内容でした。

大手タクシー会社への問い合わせ結果が紹介されていて、「機能を絞り込んだ業務用の機器を使用していてテレビ機能は無い」という趣旨のもの。

その一方で、東京地裁の判決について承知していない事業者も紹介されています。

 

山陰中央新報に面白い記事を見つけました。

公用車の未払い問題の顕在化を受けて、島根県内の民間事業者の状況を取材したものです。

テレビ機能の無いカーナビを購入する企業が増えていること。テレビ機能のあるカーナビの購入に際して受信契約が必要となることの説明を受ける機会が少ないこと。新聞社の問い合わせに対して20社中8社が回答を控えたこと、などが記されています。

 

これらの情報に基づき、つらつら考えてみました。

まず、業務用の車両について車両ごとの受信契約が必要である、とのルールの認知度について。

自治体の状況は前述のとおりですが、紹介した2つの記事を読む限り、民間事業者においても当該ルールを認識していないケースが一定程度存在していると考えられます。

 

では、何故民間事業者において同様の事案が報じられないのか?

一つには、官民のコスト意識への違いがあるでしょう。

弁護士ドットコムニュースにあった大手タクシー会社の場合、無駄な機能を省いたより低廉な仕様のカーナビを使用していたことが、結果的に、未払い問題の回避につながっています。

ヤマト運輸や佐川急便といった超大手は、株式を上場していますから、この問題には、より厳格に対処しているような気がします。

上場企業は株主代表訴訟に敏感、というのが、ガス事業の民営化を手がけた時の感想だからです。

 

NHKが本格的に受信契約の確認作業をやっていないことも影響していると思います。

NHKとしては、「設置状況の確認や受信契約の締結をお願いしている」(2025年5月定例記者会見)というスタンス。

カーナビの販売情報がNHKに提供されることが無いので、現実的に、なかなか把握が困難ということなのでしょう。

 

つまり、民間事業者における「未契約問題」は、一定程度存在している可能性があるのだけれど。

現状においては、事業者における契約状況を能動的に把握するというスタンスをNHKが取っていないので、結果的に顕在化していない。

今回の自治体における一連の騒動が各マスコミで報じられたので、今後は、徐々に静かに、民間事業者における「未契約問題」は解消されていく。

こういう話のなるのでは、と思いましたー

 

*参考文献

 

“NHK受信料「カーナビも徴収」 話題の判決、タクシー業界にどう影響?”. 弁護士ドットコムニュース.2019-05-18.https://www.bengo4.com/c_23/n_9652/, (参照2025-08-29)

 

カーナビのNHK受信料未払い 島根の民間企業にも波紋 「周知が不十分」と憤る声. 山陰中央新報. 2025-04-23,山陰中央新報デジタル, https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/768809, (参照2025-08-25)

タイトルとURLをコピーしました