トワ・エ・モワの「或る日突然」(作詞:山上路夫 作曲:村井邦彦)ではありませんが、いつかそんな日が来るとは思っていたのです。
2020年の国勢調査に基づいた将来人口推計において、仙台市は2028年をピークに減少局面に転ずることが明らかになりました。リンク(河北新報オンラインニュース)
東北の中枢としての輝きを維持していくためにはどうしたらよいでしょうか?
少し長くなりますが、私のラッパにまつわる話からヒントを得たので、しばしお付き合い下さい。
拙著「続・公務員 仕事の虎の巻」の「師匠の教え」(本文3.3)でも触れましたが、40代半ばに一念発起してプロ奏者のレッスンを受講するようになって以降、私のラッパのベクトルはずっと上向きでした。
退職したら芸大でも受験しようかしら、などと夢想したものですが、「ある日突然」転機が訪れました。
それまでは練習時間を増やせば増やすだけ調子が上がっていったのですが、50代半ばに差し掛かったところで、練習し過ぎると疲労が翌日になっても抜けない状況に陥りました。
浅田真央選手が引退に至ったのも、年齢が上がるにつれ疲労が抜けにくくなり、得意技のトリプルアクセルの練習がままならなくなったことが一因だった、という話を耳にしたことがあります。
私ごときと浅田選手をごっちゃにするな!とのお叱りは甘受させていただきますが、とにかく、還暦越えに至るまでずるずると調子を落とすばかりの日々でした。
しかし、少し前のことですが、東北方面でお仕事のあった師匠がわざわざ仙台に立ち寄ってくださり、久しぶりにレッスンを受講するという幸運に恵まれました。
師匠のレッスンは基礎練習のメニューが決まっているのですが、下り坂を自覚してからは勝手にメニューを楽な方向に改悪していました。
久方ぶりに本来のメニューで基礎練習をこなしてみると確かな手応えを感じたのです。
上り坂の時期と同じように基礎練習を継続して1週間ほどすると、今まで苦手だった「リップスラー」というテクニックが過去最高レベルでこなせるようになりました。
以後、私の練習方針は一変し、下り坂にあるのは間違いないのだけれど、下落のペースを少しでも遅くして、一日でも長くラッパをよい状態で吹けるようにしよう、と日々の基礎練習で自分を甘やかさないことにいたしました。
詰まるところ、人口減少局面のまちづくりも似たようなところがあると思うのです。
ずるずると流れに任せてしまえば、将来推計のとおりに人口は減り、まちの活力は縮小再生産を繰り返すばかりになってしまうことでありましょう。
人口減少という事象自体は避け難いことですが、
「減少のスピードに歯止めをかけることは十分に可能」
まさに、このことではないでしょうか。
音楽ホールにせよ、子育てしやすいまちづくりにせよ、震災復興メモリアルの取組みにせよ、「人口減少のスピードに歯止めをかける」という目的意識で横串を刺し、どなたかがヘッドクォーター役として施策全体をコーディネートしていくだけで、大分話は違ってくるのではあるまいか…
などと、外野席からは感じている次第です。