小松左京の書いた「日本沈没」を再読しました。
中学1年生の夏に仙台の老舗書店「金港堂」で買ったカッパノベルズを今でも持っているのです。
当時、数百万部のベストセラーとなったSF小説です。
【驚くべき符号】
巨大地震に関する記述には驚きました。
超巨大地震など起こり得ない、とする主張に対して、
限界値までエネルギーを蓄積した地殻が幾つも並び、同時にエネルギー放出が起これば、超巨大地震は起こり得る、
と、物語の登場人物に語らせます。
まさに、東日本大震災の発生メカニズそのものではありませんか!
【驚くべき想像力】
巨大地震に続いて津波が都内を襲う場面の描写にも驚きました。
“まっ黒な津波”
小松左京はこう書きました。
当時は、実際の津波の映像などは残されていなかったはずですが…
建物の屋根の上に船が残されていた、との描写も。
未来の大震災を秘かに覗いてきたのだろうか…などと思ってしまったくらいです。
【驚くべき人間力】
還暦を越えて本書を読み返すと、「日本沈没」という小説は単なるSFスペクタクルではなく、人間ドラマとして描かれていることに気づきました。
根底にあるのは、国土を失う日本国民を一人でも多く救わんとする人々の力。
驚くほどの「人間力」と思いました。
読み進むうちに、登場人物の様子は「あの時」の私たちの姿と重なっていきました。
大震災から11度目の3月。
私事ではございますが、末日をもって仙台市役所を「卒業」させていただくこととなりました。
現在はコロナ禍への対応で大変ですし、先のことを考えれば人口減少という避けがたい困難が待ち受けています。
でも、
「大震災の時の必死さや賢明さを忘れなければ、きっと仙台市役所は大丈夫」
勝手にそう信じております。
私は、卒業後も「じゅあんぷ」を通じて、仕事の質の向上活動を続けていこうかな、と考えています。
今度はブログですから、仙台市役所の皆さんのみならず、広く読者の方々に読んでいただけるといいですね。
未公開ネタはまだまだあります。お楽しみに。
*参考文献
小松左京「日本沈没」(1973)光文社