他山の石の見つけ方

不正な行為

仕事の質の向上のためには、官民を問わず、他山の石とすべき事例を見つけ、OJTなどを通じて組織への浸透を図っていくことがよいと思っています。

 

令和5年8月27日付けの河北新報に「市バスにあおられ恐怖」という見出しの記事が掲載されました。

内容は、回送中の市バスが市民の車に対してあおり運転を行った、というもの。

「発車時刻遅延の焦りか 暴言も」との小見出しも踊りました。

 

この事案は、一見すると、交通法規遵守であるとか、お客さまに対する接遇のあり方といった問題に思えます。

それも、もちろん正しいのですが、私はもう一つ「心の中の天秤」というお題を思いつきました。

 

記事にあった不心得な運転手の心の中では、バスダイヤと交通法規が天秤にかかっていたのだと思います。

この運転手にとっては、バスをダイヤ通りに運行することの方が重要と映ってしまったため、記事にあったような不適切な行動につながりました。

今回の事案を組織の仕事としてフィードバックするのであれば、

「バスダイヤと交通法規を天秤にかければ、当然天秤は交通法規に傾く」

ということを全ての運転手に伝達することだろうと思います。

交通法規を遵守した結果として、その日の交通事情により止むを得ざるダイヤの遅れがあっても、それはお客さまに丁寧にお詫びを差し上げるしかないこと。

交通法規を遵守することの方がはるかに大切である、という当たり前のことを確認するのですね。

 

話をこのように理解すると、俄然、水平展開の可能性が広がってきます。

例えば、区役所における窓口業務。

市民の方からの申請やお問い合わせにおいて、その場ではなかなか判断の難しいケースに時々出くわします。

そうした時こそ、心の中に天秤を思い浮かべて、きちんと話を整理した方がよいのです。

お客さまへの迅速な対応とマニュアル・法令に則った事務処理を天秤にかける、ということですね。

 

私の今の職場ですと、お客さまへの訪問調査のために自動車を利用する職員が多数在籍します。

今回の事例における発車時刻をお客さまとのお約束の時間に置き換えれば、そのまま「他山の石」の教材として使用できます。

 

自分の仕事との関係性に置き換えて思考できると毎日のニュースを他山の石として活用できる範囲が広がると思います。

 

*参考文献

市バスあおられ恐怖.河北新報.2023-08-27, 朝刊, p25

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