大川原化工機えん罪事件に関し、当時の捜査員らに3人に対して求償権を行使した、との発表がありました。
内訳は、重過失が認定された警視と警部がそれぞれ250万円、故意が認定された警部補が28万円というもの。
これに対して国と東京都が支払う賠償金は約1億8500万円。都の負担額は約9500万円です。
従業員への賠償請求については「重過失事案の場合はおよそ五〇%から七〇%の範囲」というのが私の理解なのですが、今回の求償額はどのようにして算出されたのでしょうか?
28万円という金額など、何かしらの計算をしないと絶対に出てこない数字です。
重過失が認定された人々よりも、故意が認定された人への求償額が大幅に低いのも妙に感じます。
この間、続報を待ってみましたが、後追い記事を見つけることができませんでした。
代わりに見つけたのが、東京都の消費税未納問題の記事。
これは、都営住宅事業を特別会計で経理することとした際、消費税の申告義務が生じていたにもかかわらす、未納の状態が一定継続していた、というもの。
他山の石とすべき内容が色々とあるのですが、「分母と分子」に関しても興味深いものがありました。
それは、未納状態にあることを外部から指摘されていたにもかかわらず対応しなかった当時の担当課長への処分。
停職の懲戒処分に加え、対応の遅れによって生じた延滞税の50%を弁償しています。
事務処理のミスにおけるさまざまな処分の事例を見てきましたが、弁償とセットになっているケースは、学校プールの水道栓の閉じ忘れの事例を除くと、ほとんど記憶にありません。
今回の事案は、それだけ過失の度合いが重かった、という判断なのでしょう。
求償権の行使に関する今回の警視庁の判断は、「分母と分子」の観点からはスッキリしません。
でも、捜査員らに対して求償権を行使すること自体が、おそらく初めてと見られる、との報道もありました。
何事もそうですが、「無から有へ」と段階を進めることは容易なことではありません。
その意味では、不適切な捜査に対して、金額の多寡はともかく、責任を問うた、という点において、本事案は評価されるべきものなのでしょう。
ゼロに対してどんな分母と分子を乗じても、答えはゼロでしかないのですから。
