前例踏襲ノススメ

不適切な事務処理
写真提供:宮城県観光戦略課

岩手県大槌町において、条例未公布問題に関する住民説明会が開催された、との報道に接しました。

この話の根っこには、担当者の「前例不踏襲」がありました。

 

事案の概要は、条例を公布するためには、首長の署名が必要で、この自治体の担当者はこのことを承知せず、約1年半にわたって未公布状態が継続した、というもの。

町長自身からの問いかけで事案が発覚したのだそうです。

恥ずかしながら、私自身、条例の公布に署名が必要とは存じ上げませんでした。

ぼんやりと、公印が押してあればよいのかな…などといった程度の認識だったのです。

慌てて、例規を調べると「仙台市公告式条例」に書いてありました…

 

大槌町が設置した第三者委員会の報告書を読み、主たる原因は、担当者が交付手続きを理解していないこと、上司によるチェックが機能しなかったこと、と受け止めました。

日頃申し上げている「三角ディフェンス」の問題です。それも最大級の。

 

報告書によると、この担当者は、前年度の「〇〇関係書」という綴りを精読せず、前例を十分に確認しないまま業務にあたったとのこと。

事務の引き継ぎに際して、前任者からマニュアルを示されて手続きの説明を受けていましたが、マニュアルにきちんと目を通すことはありませんでした。

 

私は人事異動が多かったので、その都度新たな仕事を勉強する、という経験も数多く積みました。

若い頃は決して器用な男ではなかったので、愚直に、前年度の綴りを眺めては仕事の進め方を確認し、不明な点があれば、前任者に電話して確認していました。

そうしないと不安だったのです。

 

たまーに、正反対のアプローチの方をお見かけしました。

自分なりに仕事を把握して、自己流で仕事を進めていくタイプの方。

理解力などが優れているからなのでしょうけど、私にはとても真似できないな…と感じていました。

 

それから30年くらいは経過したでしょうか。

仕事におけるオリジナリティの発揮は大切ですが、

「今までのやり方をしっかりと押さえた上でのオリジナリティであるべき」

と今の私は感じています。

漫然たる前例踏襲は慎まなければなりませんが、仕事の進め方を確認する意味での前例はしっかりと踏襲すべき、と申し上げておきます。

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