危機の感度

危機管理

JR東日本・恵比寿駅におけるロシア語表記の問題。各紙が大きく報じました。リンク(読売新聞オンライン)

「不快だ」とのお客さまからのクレームへの対応だったとのことですが、結論においてそれが誤りであったことは、世の識者のコメントにも明らかです。

仕事における危機管理の視点から大いに考えるべきところがあるな、と感じました。

 

報道に接して、私がまず気にしたのは、JRの他の駅ではこうした問題が無かったのだろうか?ということ。

他の駅にも表記があって、恵比寿駅だけが個別の対応をしたのであれば、危機管理における「ラインコントロール」の問題になると思ったからです。

他の駅における対応との整合性の問題ということですね。

しかし、各紙の報道を読み込むと、どうやらこれはロシア大使館への乗り換えの問い合わせが多い、という恵比寿駅固有の事情によるものらしいことが分かりました。

 

そうなると、本件は「組織のどの段階で当初の決定がなされたのか?」というお題になってまいります。

まさか、取締役会で決定されたということはありますまい。

恵比寿駅の役務を所管する部署、駅務全体を総括する部署、あるいは顧客からの苦情への対応を総括する部署。

これらのいずれかのような気がします。

 

拙著「公務員 仕事の虎の巻」の「物事の軽重」(本文1.5)に書きましたが、危機管理において物事の軽重を迂闊に判断するのはご法度です。

後出しじゃんけんになるかもしれませんが、本件は「顧客の苦情への対応」というお題ではなく、「人種差別」などの言葉を想起し、慎重に対応すべきお話だったのです。

(あるいは、JR東日本は慎重に検討した結果として当初の判断を下したのかもしれませんが。)

 

これは、自治体の仕事においても対岸の火事などではありません。

 

「Do you know me? 明日は我が身ぃ、と考えるが吉」

 

まさに、このことであります。

およそレギュラーでないお話については、念のため組織で情報共有する癖付けをおススメします。

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