最近のニュースから危機管理に関して2つ取り上げます。
一つは、維新兵庫県議による情報提供問題。
真偽の分からない怪文書や非公開の委員会の録音データを提供するなど、極めて悪質な案件です。
当事者の記者会見を受けての吉村代表のコメントがいただけませんでした。
それは、「気持ちはわかるけれども」の一言。
360度、どこから眺めても維新県議らのギルティ―度は揺るぎようがありません。
本来、誠実にお詫びに徹するべきでした。
県議の処分に関する対応もお粗末でした。
吉村代表は、当初、「増山議員(注:音声データ)については除名、岸口議員(注:怪文書)については離党勧告」と説明していました。
しかし、その翌日下された処分は全くの逆。
危機管理的に言うと、これは、
「聞いていた話と違うぞ」
というケースに当たります。
もう一つは、みずほ銀行の「貸金庫窃盗」事案。
これは、行員が貸金庫から、顧客2人の現金計数千万円を盗んでいたもので、2019年に発覚し、行員を懲戒解雇しましたが、その後、6年間公表してきませんでした。
三菱UFJ銀行の貸金庫での窃盗事件が騒動となったためか、2025年2月になって、ようやくこれを公表しますが、ワイドショーなどでは「当時公表していれば、三菱UFJ銀行の事件は発生しなかった可能性がある」などと厳しく批判されています。
危機管理については「早めのパブロンならぬ早めの報告・公表が吉」とお伝えしていますが、他山の石とすべき事案です。
この案件で私が注目しているのが、「逃げ切り作戦」の成否。
事案が大きく報じられた後も、みずほ銀行は記者会見を開いていません。
「だんまりの術」とでも申しましょうか。
人の噂も七十五日、といいますから、万一、この作戦が通用したら、私の危機管理術に新たな一頁が加わることとなってしまいます。
本稿執筆時点(2月28日)において、頭取がマスコミの取材に応じ、懲戒解雇となった元行員の具体像が報じられましたが、依然同行に記者会見を開く動きはありません。
個人的には逃げ切り不可と予想していますが、果たして…