地方分権30年

危機管理
東照宮山門 写真提供:宮城県観光戦略課

国会で「地方分権の推進に関する決議」が可決されて30年になるのだそうです。

虎の巻の視点でおさらいしてみました。

 

地方分権の二大目玉といえば、「道州制」と「首都機能移転」でありましょう。

「道州制」とは、都道府県が無くなって、東北州などといった広域的な自治体を新たに設置。国の権限を大幅に委譲して地方の自由度を高める、といったことが語られていました。

「これからは道州制だ」と口にする方々は多かったのですが、若者にしてばか者の私にはピンと来ませんでした。

具体的に何がどう変わるのかイメージ出来なかったからです。

九州は九州州になるのか九州のままなのか、そちらの方が気になりました。

首都機能移転については、かつては誘致合戦の様相すら呈し、仙台市においても重要な政策テーマに位置付けられていたと記憶します。

 

しかし、道州制・首都機能移転ともに、現在は全くといっていいほど動きがありません。

先日、文化庁が京都に移転しましたが、これに続く動きはありません。

何故か。

これらは霞が関の官僚機構を廃絶することとほぼ同義なので、ある意味当然の帰結なのではあるまいか、などと個人的には思っています。

自らの権限や位置づけを縮小・低下させる方向に能動的に進む組織など、およそ考えられないからです。

夢の無い男だ、とお叱りをいただくかもしれませんが、税源の偏在の問題だけを考えても、実務的には道州制は厳しい…

 

その一方、首都機能移転については、一つ考えていることがあります。

機能移転ではなく、いざという時の「機能補完」。

首都直下地震などで東京の首都機能が失われる…

これは現実的なリスクとして想定すべきことではないでしょうか。

 

虎の巻として提案したいのが、「首都機能補完訓練」。

東京が被災した際に首都としての機能を補完する都道府県をいくつか選定しておき、東京に代わって災害対応の中枢を担う段取りをマニュアル化します。

訓練は抜き打ちで行い、東京の被災状況も毎回ランダムにセット。

状況に応じて、災害対応の中枢が正常に機能するまでの時間を毎回公表していく、といったイメージでしょうかね。

予め用意された原稿を朗読するだけの訓練など何の役にも立ちませんから。

 

巨大地震の発生予測図みたいなものを眺めると、素人目には東京・大阪の同時被災も可能性としてはあり得るように思えます。その時は、おそらく名古屋も機能しないでしょう。

こう考えると、万が一の時の大役を担うことが出来るのは、仙台、福岡、札幌あたりではないのでしょうか。

そんな未来は、来ない方がよいに決まっていますが、備えは自体は必要では、と感ずる次第です。

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