事務処理のミスで一番怖いのが「事務処理の失念」です。
係長や課長のセンサーに引っかからないと、忘れたまま…ということも。
今回は、国庫補助金の手続きで発生してしまいました。
これは、福井県が実施した漁港整備などの事業に係る国庫補助金約4億6千万円の手続きを失念したもの。
国は、これからの補助金交付は難しいとの見解で、このままだと「大穴」が空きかねない状況なのだそうです。
朝日新聞の記事には、
“職員が会計システムへの入力を失念した”
とありますが、まさかそれだけがミスの原因ではありますまい。
記事にそうあるということは、誰かがそういう説明をしたということ。
「穴埋め」のことも心配ですが、私はそれ以上に、こうした原因分析を行っていることが心配です。
国庫補助金の手続きが丸々抜け落ちてしまう。
こうした深刻なミスは、たった一人の「失念」によって生じるものではありません。
当然、歳入予算には計上してあるのでしょうから、①事業を所管する部署、②部の予算を総括する部署、③財政課、④会計課など、思いつくだけでも4カ所はチェックすべき立場の組織があります。
本件は、組織としてのチェック体制が構築されていない、という構造的な問題を含んでいるミスなのだと思います。
記事を読んで驚いたのが、事業を所管する部署には「前科」があり、しかもそのことを公表していなかったこと。
これだけでもびっくり仰天ですが、他の部署でさらに2件、同様の手続き漏れがあったとのことです。
こうなると、果たしてこうした「手続き漏れのミス」が、その都度組織として共有されてきたのだろうか?という疑問を抱かざるを得ません。
他の部署におけるミスは数百万円や数十万円という金額でしたが、ミスとしての重みは、今回の4億6千万円と全く同じです。
おそらくは、知事や部長らが陣頭指揮を執っての再発防止策が講じられてこなかったのでありましょう。
「ヘッドクォーター役が不在」の場合にまま生じる「日和見の気配」が濃厚に漂います。
仏の顔も三度、と言いますが、今回は四度目。
ギルティ度はかなり高い、というのが私の感想です。
*参考文献
福井県、国の補助金手続きを失念 4.6億円「自腹」の可能性も. 朝日新聞. 2024-07-01,朝日新聞デジタル, https://www.asahi.com/articles/ASS7134V9S71PGJB002M.html?iref=pc_ss_date_article, (参照2024-07-02)