実務における卍固め

不適切な事務処理
定禅寺通り

給付金を誤って一つの世帯に4630万円振り込んでしまった事案の続報が入りました。

誤送金先の金融機関に公文書を発出するなどの対応は行っていた、とのことです。

タラレバのお話にはなりますが、どうすればよかったのか、再考してみました。

 

今回のネタ元はデイリー新潮に掲載された記事。リンク

事実関係で確認を取れたのが誤送金の原因です。要約すると、

フロッピーディスクの情報に基づき正しく各世帯に振込みが行われた一方、誤った振込依頼書に基づく振込みも行われ、二重払いが生じた、

ということでありました。

 

誤送金先の金融機関との接触状況も記事にはありますが、私の率直な感想を申し上げれば、

「何だかとてもお堅くて建前ばかり」

このことであります。

振り込まれた4630万円が預金者の正当な債権でないことは明白なのに…

“銀行とは限らない”と記事にはありますから、一番お堅いであろうアソコかな?などと邪推していますが。

 

誤送金先の金融機関から芳しい回答が得られなかった、との報告を受けた後、と仮定して、どうすれば他口座への移動を食い止められるのか、思考してみました。

建前上は、当該金融機関を含め、どこの銀行であっても、「他口座へお金を移さないようにお願いします」と頼み込んだところで、これに応ずることは困難でありましょう。

そこを何とか…とお願いしている訳ではあるのですが、どうやら先方は建前でしか動いてくれそうにありません。

加えて、誤送金されたお金を受け取った方から一応返済の意思表示はいただいてはいるものの、依然として具体の手続きを取っていただけていない…

万が一を考えると大変危険な状況であり、何らかの「決め技」を出す必要があるように思います。

私、こうした場合には基本的にストロングな作戦を立案するのです。その作戦は…

 

「誤送金の事実を速やかに記者発表してしまう」

 

これであります。

誤送金された方や当該金融機関への配慮などハードルはたくさんありますが、危機管理の基本に立ち返れば、ある意味、これは正しい対応ではあるのです。

4630万円の誤送金という事務処理のミスは現に発生している訳ですから。

 

同時に、次のような情報を発信します。

・誤送金を受けた方とは既に接触して返済の意思表示をいただいており、現在調整を続けている。

・誤送金先の金融機関に対しては公文書を発出し、円滑な返済へ向けての格段のご協力をお願いしたところである。

・事態の速やかな収束に向けて、全力を尽くしていく。

・町民の皆さまにおかれては、当事者探しなどは厳に慎んでいただくようお願いする。

こんな感じですかね。申し添えますが、これは「たたき台」ですから「味付け濃い目」にしてあります。

お堅い当該金融機関のお名前こそ出しませんが、「どこの銀行だ!」と世の中の注目を集めることは必定。

実質的に身動き出来ないように「卍固め」を決めてしまう作戦です。

 

もちろん、これは当該金融機関にケンカを売っているようなもの。個人情報への十分な配慮も必要です。

でも、多額の公金が第三者の銀行口座に移されてしまう、という最悪の事態とどちらを取るのか?という「究極の二択」だったら…

 

まぁ、採用されないでしょうけれど。

 

*参考文献

山口県阿武町「4630万円誤送金騒動」で副町長を直撃!「フロッピーディスクは悪くない」「ミスした職員は食事も喉が通らない状態」.週刊新潮.2022-05-03, デイリー新潮.https://www.dailyshincho.jp/article/2022/05031001/?all=1, (参照 2022-05-03).

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