東京新聞に凄い記事が載ってました。
葛飾区が窓口対応支援用のAIを開発し、この9月下旬から試験運用を開始する、というものです。
自治体の仕事にも、いよいよAIの時代が到来するのでしょうか??
葛飾区はAIの活用には積極的でして、2024年から様々な行政資料をチャットGPTに読み込ませ、資料作成に活用する取り組みを開始しています。
今回の窓口対応支援システムは、その延長線上にある施策です。
システムの概要は、窓口のお客様のお尋ねをマイクで聞き取り、AIが質問に対する回答を表示。職員は、その回答を眺めながら、お客様へのご案内を行うというもの。
私が感心したのは、3千万円もの開発予算を認めた首長の姿勢。
経験から申し上げると、「よく、予算が付いたものだ」と正直に思います。
既に資料作成支援システムを使っていたので、おそらくは、ある程度の成算があったのでしょう。
自治体様で講義を差し上げる際に「生成AIの活用について」という注文をいただく機会が何度かありました。
百聞は…というヤツで、早速あれこれ実験してみました。
まず、公用文の作成。
これはAIをスパルタンに教育していくと、下書きレベルとしては十分に実用に耐えるアウトプットがありました。
添書の類なら全てAI対応で問題ないように感じます。
びっくりしたのは、議会の答弁原稿の作成。
ある自治体のある議員の質問を読み込ませ、市長答弁の作成を、と指示しました。
するとどうでしょう!
チャットGPTが作成した「市長答弁」は、文体や様式、内容を含め、そのまま議場で使用できるレベルのものでした。
いやいやこれには驚きました。
打ち合わせの記録や有識者会議の議事録などもお手の物。
若い世代の方々は既に実践投入しておられるかもしれません。
昔は、自前でテープ起こしをやると、再生時間×1.3倍くらいの時間がかかりました。
業者さんに作業を委託するケースもありましたが、早晩、この手の業界は干上がってしまうことでしょう。
葛飾区の取り組みには敬意を表する次第ですが、昭和な私のささやかな心配を一つだけ。
「親亀こけたら皆こけた」
このことです。
AIに学習させる情報に誤りがあると、アウトプットにも誤りが生じるのではないか?
システム開発や運用の時点でこうした誤った情報が紛れ込み、自治体のチェックが及ばない、という状況が万一生まれると…
まぁ、昭和なオヤジのつぶやきです。
*参考文献
来庁者との「趣旨がはっきりしない会話」にも対応OK 葛飾区が3000万円かけ職員の応対アシストAI開発. 東京新聞. 2025 09-14,東京新聞電子版, https://www.tokyo-np.co.jp/article/435715?rct=t_news, (参照2025-09-16)