年度初めなので、危機管理のおさらいを。
「危機管理は時間が命」と拙著でお伝えしましたが、これは速やかな情報共有についての注意を促すものでした。
今回は、別の意味で「時間が命」というお話です。
令和4年12月、ある自治体で傷害事件が発生し、犯人が逃走中という事案がありました。
事件が発生したのは午前中。児童生徒の安全確保の観点から、各小中学校に対して速やかな情報共有と集団下校などの指示が必要な状況でした。
情報共有は適切になされましたが、集団下校の指示については、事件が発生した学区のみにとどまり、他の学区への指示が遅れてしまいました。
一部の学校では、保護者への連絡が下校時間後となってしまったのだそうです。
このケースでは、集団下校の指示は下校時間前に各学校に通知しなければ意味を成しません。
「時間勝負の危機管理」を求められる局面だったのだと思います。
他の学区への通知の意思決定が遅れたのは、議会対応で幹部職員が不在だったため、とのこと。
結果的に集団下校が徹底されなかったのですから、危機管理上は重大な問題があった、と申し上げざるを得ません。
では、どうすればよかったのか?
親が無くとも…と言いますが、危機管理においては、
「上司が不在でも部下は適切に行動する」
このことを志向すべきでありましょう。
具体的には、局区長ら幹部職員が不在の場合でも、危急の案件については課長判断、係長判断で対処してよろしい、という包括的な指示を予め行っておき、組織として共有することだと思います。
そうは言われても、いざ実際に危急の事案が生じた場合、部下は躊躇し、しり込みするものです。
普段から、局区長ら組織のトップが、責任は自らに帰属することを明言しておくことも大切だと思います。
部下の背中を押す、ということですね。
OJTとか課内のミーティングとかは、こういったことの意識共有のために使うとよいのでは、とも思います。