現役時代に「自己申告書」を提出していた時のことです(ちなみに部長職以上にはこの制度はありません。黙って働け、ということですね。)。
異動先の希望を記入する欄には、いつも「未経験業務」と記していました。
幸か不幸か、ほぼ希望通りの異動を繰り返し、実質的な出戻りは企画部門くらいなもの。
3年以上在籍した職場は財政課と水道局総務課しかありません。
理由の第一は、その総務課職員係長時代の経験。
人事異動の作業において、自己申告書の情報は大変有り難い存在でした。
だって、直接的には人となりを存じ上げない方もたくさんいて、その方々の配属先を決めなければならない訳ですよ。
よかれと思って異動させてみたら、本人的には不向き、あるいは不本意で…などということもあり得る仕事。
毎年苦痛を感じながらこなしていました。
なので、せめて私の異動作業に関しては…と考えたのです。
第二は、やはり異なる分野での仕事は、その分多くの経験値が得られると思ったから。
国際音楽コンクールの仕事では、芸術家の先生方とご一緒し、専門家の感覚の一端に触れることが出来ました。外郭団体の職員さん達と仕事もして、団体固有の価値観や常識があることにも気づきました。
某局では、新規の事務を振り分ける際、「事務分掌に記載されていないので、ウチの課の担当ではない」との発言に接して仰天。新規の仕事だから記載してある訳ないでしょ。
楽天球団や水族館の仕事では、民間の方々と接する機会が多く、その都度、とても新鮮に感じました。
随分色々と経験させていただいたなぁ…と思っていたら、局長ポストをいただいた時は環境局への異動。
その年一番のビックリドッキリ人事と本人的には思っていました。
赴任後、ラッセル車のように懸案に手をつけていきましたが、この間の経験を通じて「過去の経緯」の重要性というヤツを学びました。廃棄物行政はまさに典型です。
新規採用職員の人事異動について、私はかねて
「3年ごとに異動させる」「10年間で本庁と区役所を二往復させる」
ことをルール化すべき、と訴えていました。
市役所職員は、基本オールラウンダーと考えており、その観点からは若手の時は幅広に経験を積んでいただくべきです。
この点、いつの議会だったか忘れましたが、今後はそうした人事異動を心がけていく的な答弁を耳にしました。
よいことですが、「毒を食らわば皿まで」の境地ではっきりとルール化すればいいのに、と卒業生としては感じましたー