ある自治体の市立学校プールにおける水道水の溢水事案。
組織の仕事における責任のあり方について、色々と考えさせられました。
事案の概要は、コロナ対策になると勘違いした教員が学校プールの給水栓を約2ヶ月にわたり解放して約350万円の損害を市に与え、市はその半額を学校長ら3人に対して損害賠償請求を行った、というもの。リンク(朝日新聞デジタル)
「仕事の虎の巻」的な観点からは、先ず、管理職によるガバナンスが効いていないように感じました。
当該自治体の記者発表資料によると“管理職等に相談せず”とある一方、報道では、別の教員が気づいて給水栓を閉めることもあったが、その都度、当該職員が給水栓を開けていたことも指摘されています。
「虎の巻」的には、別の教員が気づいた時点で、管理職に報告が上がっていて欲しかった…
危機管理的な視点からは、イレギュラーな話は事の軽重に関わらず、管理職の耳に入るような仕組みを構築しておいた方が安全だからです。
あるいは、報告はあったのかもしれません。
そうであれば、一言当該教員に声がけしていれば、その時点で事実関係を把握出来たような気がします。
職場の危機管理は、管理職が能動的に行動するが吉と思います。
組織としての責任という観点からは、記者発表における以下のくだりが気になりました。
“プール管理に関する責任者を置かず、学校組織として何をすべきか決めておらず、プールの管理体制を作っていなかった”
このことが過失と認定されているのであります。
損害賠償を請求するのですから「重過失」でなければなりません。
果たして、どうなのだろう?というのが正直な気持ちです。
上記の状況が学校長らの重過失に当たるためには、少なくとも、①責任者を置く、②組織として何をすべきか定める、などといった管理体制が他の市立学校では構築されているにもかかわらず、当該学校だけがそうした体制を築いていなかった。
あるいは、教育員会が文書で通知したり規則で定めたりしているのに、当該学校だけがこれに反していた。
などといった状況が最低でも必要な気がします。
しかし、プール管理について“学校組織として何をすべきか”といった事項を各学校に個別に考えさせる、というのは少し違うな、と思います。
私の区長経験に照らせば、各区で横並びの仕事をしているのに、例えば「庁舎管理について区として何をすべきか各区が考えよ」と言っているのと同じような話に思えるのです。
個々の学校長の判断で管理すべき事項が相違することの無いよう、全ての市立学校を総括する立場にある者がしっかりと枠組みを構築すべきでは、と外野席からは感じました。
私がこの自治体の職員であったなら…
組織の仕事として管理体制の構築を求めているのであれば、現学校長以前の管理職らの責任はどうか、構築状況の指示・確認・徹底を行うべき者の責任はどうか、くらいは意見具申するような気がします。
まぁ、1週間くらいでお払い箱ですかね…