報告・連絡・相談。
「ほうれんそう」の徹底は、仕事の基本です。
耳にタコが出来るほど聞かされ、自分でもしっかりと心がけている。
けれども、ミスは発生してしまう。何故でしょう?
2つの事案から、その原因を考えてみましょう。
【通常案件と同一視してしまう落とし穴】
お客様からの苦情対応で起こった出来事です。
担当課では、外部の行政機関に対して対応してもらえるかどうかを打診しました。
しかし、組織のトップである私への報告は、しばらく日にちが経ってから…
つまり、組織のトップの了解を得ることなく、外部の行政機関への働きかけを行っていたのでした。
「事務レベルでの相談」という意識があったようですが、市役所内部で他の部署の担当者に相談するのとは次元が違います。
危ういケースでした。
【他課の仕事への影響を見落としてしまう落とし穴】
ある課の仕事の中で、外部の事業者にお願いしている事案に変更点のあることが分かりました。
変更点の影響は、他課の仕事にも及ぶ可能性がありましたが、当該担当課では庁内での協議をすることなく、変更を加えていました。
幸いなことに、結果として、変更点が他課の仕事には反映されない、という状況に至りましたが、これも危ういところでした。
【最大の落とし穴】
これらの事案には共通することがあります。
それは、「ほうれんそう」の対象と認識されていないこと。
報告すべき事案、連絡すべき情報として認識されていなかったために、相談も行われなかった、ということです。
これこそが、「ほうれんそうの落とし穴」だと思います。
【アンテナを張ろう】
ですから、上司の皆さんは、部下からの「ほうれんそう」を漫然と待っていてはいけません。
窓口でのお客様とのやり取りの様子や電話での会話の状況などに、軽く注意を払うようにすることをおススメします。
私はこれを「アンテナを張る」と呼んでいます。
何か様子が変だな…などと、少しでも自分の中で引っかかるものがあったら、部下に一声かけてみましょう。
「あのお客様、どういったお話だったのですか?」
「今の電話、どなたと話していたのですか?」
トラブルの元を発見するケースが結構あると思います。
【危険やリスクに対する感度を上げよう】
「ほうれんそう」の落とし穴が生じる要因は、危険やリスクに対する「感度」が人によって相違することにあります。
この道30年の局区長さんと入庁してまだ数年の若い職員の皆さんとでは「危機察知センサーの感度」が違うのは当たり前。
センサーの感度を上げるために私が心がけてきたことは…
自らの失敗の経験を次の仕事に生かすことと「人の振り見て我が振り直す」こと。
一朝一夕には「感度」は上がりません。日々の経験を通じて、時に失敗をしながらも、レベルアップを心がけていきましょう。