無い袖振る袖

東日本大震災
写真提供:宮城県観光戦略課

【30分の6】

平成23年5月1日。

大震災への初動対応の関係から通常より一か月遅れで組織改正が行われ、人事異動の発令がありました。

私が拝命したのは総務企画局参事。部下は課長以下5名。

局相当の組織として震災復興本部を立ち上げたこともあり、企画調整局を総務局に統合する形で再編が行われました。

調査統計や国際交流の仕事は他局の所管となりましたが、それ以外の企画業務を全て私以下6名のスタッフで対処せよ、というステキなご下命を賜ったのでございます。

 

震災復興業務に人を割かねばならぬ中、人事課とて苦しい算段をしたのでありましょう。

こういう時はお互いさまですから、まずはこの人数でどうにかしよう、と考えました。

とは言え、昨年度は30名ほどの人員を配置していた業務と全く同じことを6名でやれ、というのは明らかに無理があります。

「全部は無理」

とまずは腹を括りました。

次いで必要になるものは…何だと思いますか?

 

【将軍さまの…】

それは

 

「トップのお墨付き」

 

これであります。

発令に際して何の説明も受けていないので、組織としての意志を先ずは確認しなくてはなりません。

なので、市長レクのアポ取りを部下に指示しました。それも出来るだけ早く。

同時に、所管する業務のたな卸し作業を進めました。

「この仕事はやらない。止める。」と大鉈を振るう。言わば「業務のトリアージ」みたいなことをやらなくてはいけないのです。

よりトップに近い職にあるものが率先して、責任を負って判断にあたるべきです。

なので、この仕事は私が中心になってやりました。

 

【やりくりの結果】

近隣自治体との会議は開催回数を減らし、書面開催とする、とか、国や政党への要望活動は復興関係のそれに集約する、とか。

あの手この手でやりくりをした業務計画は無事に原案了承と相成りました。

今にして思うと、BCPを作っていたようなものですね。

この2年あまりコロナ対応を継続しつつ、この時期は、通常業務や議会対応も重なって…

全ての業務に全力を尽くすべきであることは否定しませんが、「無い袖は振れぬ」とも言います。

持続的・継続的にパフォーマンスを発揮していく、との観点からの折り合いも時に必要、と感ずるこの頃です。

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