「セクシー田中さん」の原作者で漫画家の芦原妃名子さんが急死した事案。
小学館が急死の経緯について社外発信しない方針が報じられた翌日、一転してプレスリリースが発表されました。
会社の方針を変更させたのは「現場の声」でありました。
小学館では2月6日に今回の事案について社員に向けて説明会を実施しましたが、その際、社外へ向けての説明を行う考えが無い旨の方針が示されます。
翌日になって各紙がこのことを報じ、多くの方々から疑問の声が上がりました。
私、この時点では「沈黙は金」というタイトルを考えておったのです。
しかし、8日になって状況は一変。
芦原さんの作品が掲載されていた月刊誌のホームページに「作家の皆様 読者の皆様 関係者の皆様へ」と題するメッセージが掲載されます。
これは、当該月刊誌を担当する第一コミック局としての情報発信でした。
組織の仕事において、これは極めて異例のこと。
仙台市役所で申せば、仙台市として公式の声明がある中、例えば(私の所属していた)宮城野区や環境局がより踏み込んだコメントを発するのと同じことだからです。
さらに驚くべきことに、小学館のホームページには「芦原妃名子先生のご逝去に際して」とのプレスリリースが掲載され、
「あわせて、芦原先生にご寄稿いただいていた『姉系プチコミック』が所属する小学館第一コミック局の声明がございます。お読みいただければ幸いです。」
とのコメントに続き、第一コミック局のメッセージ全文が掲載されました。
これは、
「現場の声が会社の方針を覆した」
という稀有な事例なのです。
夜中に第一コミック局のメッセージの存在に気づき、一読して素直に涙いたしました。
官民を問わず、組織の方針について「何だかなぁ…」と感じつつ、反対意見を述べられない。
恥ずかしながら、私にもそのような経験がありました。
自らの処遇とか上層部の事情とか色々考えてしまうのです。
なので、今回の「第一コミック局編集部一同」の行動には心底恐れ入りました。
よほどの覚悟をなさってのことなのだろうと感じました。
組織の方針が明らかに誤っていると感じた場合は皆さんも…
などと軽々に申し上げることは出来ません。
何しろ私自身が出来なかったのですから。
でも、現場の声が組織の上層部に届き、組織を動かすことが出来た。
そのような事例が確かに存在することは記憶に留めていただきたいな、と思いました。
危機管理の観点から2点だけ。
日テレは、番組HPに掲載された言い訳がましいコメントを素直に訂正した方がよいと思います。
日テレ本体のHPで「関係者個人へのSNS等での誹謗中傷などはやめていただくよう、切にお願い申し上げます。」と発信したところで、言い訳がましいコメントを放置していたのでは、「頭隠して…」というヤツではないのでしょうか。
もう1点。日本シナリオ作家協会が同協会HPに掲載した動画を一方的に削除した件。
問題となっているコメントに無関係である出演者への配慮が必要と感じます。
現に被害を訴えておられるのですから。
この2点について「沈黙は金」ならず、と感ずる次第です。