千葉県の広報紙に使われた印刷用紙の「白色度」が不足していた、という事案がありました。
先ずは、毎日新聞デジタルの記事をご覧ください。リンク
これは、発注に際して白色度70%以上と仕様を定めていたところ、受託者はこれに反してより低い白色度の用紙を使用していた、というもの。
仕事の質の向上の観点から、あれこれと考えてみました。
第一は、事案の発覚に至る経過であります。
報道を要約すると、
神奈川県の広報紙において同様の事案が発覚したことを受け、同じ会社に業務を委託していた千葉県が報告を求めたところ、その会社が「白状」した、
ということです。
私の仕事のテクニックに「アンテナを張る」というものがあります。
今回の事案では、神奈川県のケースを把握し、会社に対してきちんと確認を求めた千葉県の対応がよかったと思います。
どなたか、アンテナの感度の高い方がおられたのでしょうね。
第二は、履行確認のあり方。
報道には、”目視でも大きな違和感がなかった”とする県の担当者のコメントが載っています。
実務面でこれを考えると、白色度を履行確認の過程でチェックするのはかなり困難ということではないでしょうか。
「頭の体操」として、今後の是正策を考えていくと、これが悩ましい…
千葉県のホームページには、今後の対応策として”証明書の提出を求める”とありましたが、今回の事案では、受託した会社が「白々と」と異なる仕様の用紙を使っていたのです。性悪説を前提にしてしまうと少し心許ない感じもします…
第三は、そもそも論としての白色度のあり方。
報道には、”これまで県に「広報紙が見えづらい」などの声は寄せられておらず”とありますから、これもまた悩ましいお話です。
端的に申し上げれば、「現行の仕様は過度な水準で白色度を設定しているのではないか」という話にもなってしまいます。
議会などで問われた場合、「現行の仕様が適正なものか検討が必要と考えております」くらいのお答えは必要になってくるような気がします。
ところで、本稿をお読みの他の自治体の皆さん。
これを「対岸の火事」とのんびり構えてはおられませんか?
毎日新聞の記事を読んだ議員が、これに触発されて議会で取り上げる…という可能性を念頭に置き、予防線を張るが吉と助言いたします。
*参考文献
白色度1割足りない紙で広報紙 千葉県、印刷会社を指名停止.毎日新聞.2022-04-20, 毎日新聞デジタル.https://mainichi.jp/articles/20220419/k00/00m/040/276000c, (参照 2022-04-20).