厚労省が、新型コロナワクチンを接種している人の一部を「未接種」としてデータ処理していた問題が明らかになりました。リンク(朝日新聞デジタル)
接種済みではあるものの接種時期が不明である事例について、一律に未接種と扱っていたものですが、
「理由は不明」
ですって…
私の眼には、みずほ銀行の2021年・1回目のシステム障害や国交省の統計データ二重計上問題などと同じ構図の問題に映ります。
一体どこが問題かと言うと、
「問題の重要性を認識した上で、組織として検討した形跡が伺えない」
ということ。
「理由が不明」というのが何よりの証左。
組織的にメリデメを検討して意思決定していれば、「分からない」という説明はあり得ないからです。
本件では、データ入力時の職員への負担を考慮したことも報じられています。
しかし、接種済みであることが分かっているデータについて、その時期が分からないということを理由に未接種と処理することになるのですから、「入力時の負担が云々」という次元の話ではありません。
この点、みずほ銀行の案件も似た図式でした。
コスト縮減のためにデータ移行を急ぎ、通常メンテナンス作業を行わない月末に作業を行った結果、大規模なシステム障害が発生しました。
共通するのは、担当部署におけるメリデメの議論だけで判断が行われているのではないか、ということ。
統計データとしての正確を欠くとか、システム障害の発生リスクがあるといった、組織全体として議論を行うべきポイントがないがしろにされているのです。
原因は、組織としての情報共有が行われていないことだと思います。
国交省の二重計上の案件でも、室長以下のレベルで誤った判断が行われ、その事実が長年組織的に共有されてこなかった、との指摘があります。
「情報共有無くして、組織力の発揮無し」
まさに、このことであります。
特効薬はありませんが、拙著「公務員 仕事の虎の巻」などで述べてきた危機管理の実践が、迂遠なようで実は最短ルートだと思います。
担当課レベルでノーリスク、ローリスクと思える案件でも、念のため、部長、局長らと情報共有出来ていれば、自ずと組織力は発揮されるからです。
どうせ、上の方々など暇を持て余しているのです。
気軽に部長のデスクを訪ね、局長室のドアをノックするが吉と助言いたします。