私の仕事術に「逆さま思考」というものがあります。
物事を逆さまにして考えてみて、解決策を導き出すものです。
石巻市が発注した下水道工事において、職員2名が逮捕され、有罪判決を受けるという官製談合事件がありました。
事態を重く受け止めた石巻市では、再発防止策に係る検討委員会を立ち上げて議論を重ね、先日、再発防止策報告書が提出・公表されました。
再発防止策についてマスコミが大きく報じたのは2点あります。
第一は、「予定価格の事前公表」です。
予定価格を秘匿するから不正行為が発生するので、秘匿するのを止める、と考えたのです。
これぞ、まさしく「逆さま思考」であります。
市議会からは、落札価格の高止まりを懸念する声もありましたが、標準単価や積算方法が公表され、「積算能力が高い業者であれば、予定価格や最低制限価格を高い精度で算出することが可能な状況」にあることなどを踏まえて判断したとのことです。
個人的には「アリ」と思いました。
第二は、「公益通報制度の見直し」です。
職員へのアンケート調査の結果、入札情報の漏えいを見聞きした職員がいたものの、実名での通報しか出来ない仕組みだったために、公益通報制度が全く利用されませんでした。
これも、「逆さま思考」で対策を講じます。
実名通報が必要だったので制度が使われなかったから、実名通報を止めてみる、と考え、匿名通報を可能となるよう見直しを図ることとしました。
これも「アリ」です。
これらの再発防止策は「具体度」においては申し分ありません。
が、本稿の本題はここからです。
不祥事や事務処理のミスの再発防止策を実効あるものとするには、二つポイントがあります。
一つは、この間再三申し上げてきたように「具体的」であること。
でも、もう一つあるのです。
それが、「話の根っこ」に辿り着くこと、であります。
報告書を読んでみて、私は、この事案の「話の根っこ」は、違うところにあるように感じました。
さて、それは何でしょう?
読者の皆さんも当該報告書に目を通して、考えてみてください。
答え合わせは次回に!
*参考文献
石巻市職員による官製談合防止法違反等事件再発防止対策. 石巻市. 2024-12-05,石巻市HP, https://www.city.ishinomaki.lg.jp/cont/10105000/01saihatsuboshitaisaku.pdf, (参照2024-12-05)
予定価格の事前公表 官製談合事件があった石巻市の再発防止対策. 朝日新聞. 2024-12-04,朝日新聞デジタル, https://www.asahi.com/articles/ASSD34G7QSD3UNHB00GM.html, (参照2024-12-05)