小林製薬の紅麹サプリ事案。
公表までに2ヶ月を要したことに批判が高まっています。
危機管理の観点から考えてみました。
「危機管理のイロハ」というお題の中で、
「悪い話ほど早めの公表・報告が吉」
とお伝えしていますが、今回の事例は、その反面教師みたいなもの。
公表が遅れると世の中からどのような評価を受けるか、よーく分かります。
3月26日には、1人が腎疾患で亡くなっていることが判明しますが、その経過が気になりました。
遺族が23日夜に同社へメールで「通報」しましたが、メールを「開封」したのは2日後。
問い合わせを含め、3千件を大きく超えるメールが殺到し、
“内容確認に時間がかかっている”
とのことです。
一事が万事といいますが、公表までに2ヶ月かかったことと、メールの開封が2日遅れになったことは、根っこを同じくする問題だと感じます。
それは、この案件が、
「他人様の命に関わる緊急の問題だ」
という危機意識の欠如。
本来は、目の色を変えて、状況把握と対応方針の整理に取り組まなければなりません。
3千件を超えるメールが殺到したとしても、重大な情報提供が含まれているかいないかだけなら、1時間とかからずに確認出来ます。
要は、その気が無いだけなのです。
紅麹を原料として提供している会社は52社とのことですが、社名を公表しないばかりか、各社への情報提供すら行っていません。
各社へ提供した原料には、健康被害をもたらす可能性のある成分が含まれていない、との説明で世の中に通用すると思っているのです。
「技術者目線での視野狭窄的な判断」
と私の眼には映ります。
現に、原料として提供を受けた各メーカーは大変困っています。
消費者にも不安が広がる一方です。
「ユーザー目線、消費者目線の欠如」
これが、本件における「話の根っこ」と考えた次第です。