事務処理のミスなどが生じた場合の危機管理は、組織としてミスなどの発生を覚知した時点から始まります。
逆にいうと、ミスをした当事者から報告していただかないことには、組織として対応しようが無いのであります。
令和4年12月、ある自治体の職員が公用のスマートフォンを紛失。
紛失したスマホには市民の電話番号などが記録されていました。
職員の申告に基づき、当該自治体ではすみやかに記者発表を行いましたが、その後、スマホは無事発見され、個人情報の漏洩も確認されていない、とのことでした。
危機管理として、ここまではよかったのですが…
翌月、当初の職員の報告に虚偽が含まれていることが判明。
紛失した事実を実際には10日以上伏せていた上、酔っ払って帰宅する途中に紛失したことも報告しませんでした。
拙著「続・公務員仕事の虎の巻」で取り上げたように、
「不都合な事実は必ず表に出る」
まさに、このことであります。
職員には懲戒処分が下され、当該自治体にとって、さらなる不祥事の公表となってしまいました。
この自治体では、全市民の個人情報が記録されたUSBメモリを紛失するという重大な事案が同じ年度に発生していました。
職員はこのことが頭にあり、自分で何とかしようと考えたのだそうです。
結果を見れば、傷を深くしてしまっただけでした…
自治体の仕事は組織で行うもの。
仕事のミスについても、組織として対応していきます。
いたたまれない気持ちから、自分で何とか…という考えが脳裏をよぎった時は、今回の事例を思い出してください。
もちろん、お叱りは甘受しなければなりません。
組織として状況をリカバリーし、組織としてお叱りを頂戴するということです。