上司と部下の関係

趣味を生かしてOJT
写真提供:宮城県観光戦略課

上司と部下の意見が相違。

指示を踏まえて修正案を出すが、なかなか上司のOKが取れない。

苦しい状況ですが、さてどうしましょうか?

 

NHKが放送した「シン・仮面ライダー」の制作ドキュメントを視聴しました。

格闘シーンに対する庵野監督のこだわりは、「本気で相手を殺すつもりで戦っているように演技して欲しい」というもの。

アクション監督が殺陣(たて)を振り付けますが、なかなかOKが出ません。

「合わせるだけになっている」「段取りになってしまっている」

と手厳しいコメントが続きます。

撮影現場はどんどん雰囲気が悪くなっていきました。

 

虎の巻的に申し上げますと、

「仕事における趣味は上司優先」

であります。

確かに、殺陣師に対して「殺陣に見えないように」とは厳しいオーダー。

ある意味、これまでのやり方の否定にも思えてしまいますが、この場合、監督の趣味を優先させるしかありません。

 

しかし、庵野監督の注文は、かなり抽象的です。

私たちの仕事に置き換えれば、「市役所が本気で一丸となっている、と市民が感じるような取り組みを考えて欲しい」などと言われているようなもの。

アクション監督を含め、現場の方々はかなり苦しかったと思います。

 

ドキュメントが進むうちにひしひしと感じたのは、庵野監督とアクション監督との感覚の相違。

ドキュメントの中にもありましたが、自身がカッコいいと感ずるものがお互いに違っているのですね。

上司の趣味は優先させなければなりませんが、一方、部下の側にも自分の持ち味、スタイルがあります。

例えば、「緻密に詳細にコツコツと」という仕事のスタイルの部下に対して、「もっと大胆に大まかな視点で」と注文を出しても、部下が苦しくなるだけだと思います。

 

クライマックスシーンの撮影で二人の感覚の相違は限界点に。あわや撮影中止というところまで悪化してしまいます。

事態を収拾するにはどうしたらよいか?

答えは一つしかありません。

「上司の側が折り合いをつける」

このことであります。

部下には出来ることと出来ないことがあり、組織の仕事はそのことを前提にカスタムメイドで構築していくしかないからです。

 

実際、庵野監督もそのように行動しました。

アクション監督にきちんと謝罪を入れ、自分の趣味で泥臭く撮りたい部分とアクション監督が振り付けた殺陣にお任せする部分を切り分けたのです。

映画を観た時に、戦闘シーンの描き方が途中で変わり、何で?と感じた謎が解けましたー

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