平等の名の下に

仕事術あれこれ

北海道のある自治体において、学習機会の平等を理由に、全ての市立小学校におけるプール学習を一律に中止することにしたことについて異論が出ている、との記事を見つけました。

 

この自治体には小学校が40校ありますが、このうち20校にプールが無いのだそうです。

プールの無い学校は送迎バスを使い、プールのある学校に移動してプール学習を行っていました。

新型コロナの影響でここ数年実施出来ずにいたのですが、5類移行を機に再開を検討したところ、バス事業者における人手不足と観光需要の回復とで送迎業務をお願い出来るバス事業者が減少。

あれこれ工夫しても、これまで年に3回実施できたプール学習を1回しか実施出来ない状況に陥りました。

 

で、冒頭記したように一律中止の方針に至ったとのこと。

虎の巻が提唱する「仕事の三原則」に照らせば、本件は「毒を食らわば皿まで」の発想ということになりましょうが、私には「過ぎたるは及ばざるが如し」の感が…

どういうことか?つらつらと考えてみました。

 

【年3回は平等で年1回は不平等なのか】

この自治体では、コロナ禍以前は年3回のペースでプールの無い小学校においてはプール学習を実施してきました。

プールのある学校では、それ以上のペースでプール学習が実施可能でしょうから、元々「格差」は内在していたような気がします。

 

【年1回の実施は無意味か】

無意味でないことは論を待ちません。

1をゼロにする理屈が見当たらないように思います。

 

【学習機会を奪うことにならないか】

少なくともプールのある20の小学校ではプール学習を実施可能です。

今回の判断は、これらの児童から学習機会を奪うことになりはしないのでしょうか。

 

【公的財産の活用の観点ではどうか】

現に活用可能である学校プールという公的財産を意図的に使用しないのですから、この点でも十分な説明が必要になってきます。

 

【今回の判断を次年度以降継続出来るのか】

バス事業者における運転手の不足は、我が国全体で業界に共通する問題として顕在化しています。

バス業界において次年度以降も人出不足が解消されなかった場合、プール学習の一律中止という判断を継続せざるを得ませんが、果たしてそれで持ちこたえられるのでしょうか。

そうなると、20校分のプール施設は無用の資産ということになってしまいますが…

 

ちょっと考えてみただけで、あれこれ出て来ました。

仕事の虎の巻として申し上げたいのは、皆さんが手掛けるお仕事においても、一定の判断を求められるケースについては、

「論点を全て整理して、議論の俎上に載せた方がよい」

ということ。まさにこのことでございます。

各論点に対する判断としては右も左もあり得ます。

これは、最終的には意思決定権者がお決めになればよろしい。

ですが、論点を俎上に載せ、意見具申するのは事務方の役割。私はこのように思っております。

今回の事案においても、議論が尽くされた上での判断であることを願う次第です。

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