ビッグモーターの記者会見について、危機管理の観点から考えてみました。
ポイントの第一は、不正請求問題について「板金塗装部門の単独で、他の経営陣は知らなかった。」と断言したこと。
組織的な関与についても明確に否定しました。
これは、囲碁・将棋でいうところの「強手」。
早期の火消しを図り、業績への影響を最小限にしたいとの狙いが見て取れます。
社長・副社長の辞任も同時に発表しましたから、この手のお話において、切れる札を全て切ったように思います。
裏返せば、もはや後には引けぬ状況にある訳でして。
「経営陣」が何人いるのか存じ上げませんが、その中の誰かに実は報告が上がっていたとか。
〇月〇日に初めて知った、とまで断言しましたが、それ以前に実は知っていたとか。
週刊文春がお得意の独自音源入手などのスクープへの心配は無いのだろうかとか。
なまじ強手であるだけに、会見で述べたことに反する事実が万一あった場合、致命傷になりかねないような気がして心配です…
まぁ、「天地神明に誓って」そのようなことが無いからこその一手なのでしょうけど。
第二は、街路樹への「除草剤散布疑惑」への対応。
会見で質問が出ると、社長が「環境整備で…」と口を開こうとすると、同席していた他の役員が「きちんと調査をさせていただきまして…」と社長の発言を制止。
その後も行ったり来たりの感がありました。
おそらく…ということですが、この件についての想定問答などの事前の準備が不足していたのではないでしょうか。
「ラインコントロール」という言い方を私はしますが、どうもそこが十分でなかったような印象を受けました。
などと外野の私があれこれ心配する話ではありませんね。
今回の記者会見が危機管理におけるお手本事例となるか否か。
遠からず評価が定まることでありましょう。