報告・連絡・相談。
「ほうれんそう」の徹底は仕事の基本です。
耳にタコが出来るほど聞かされ、自分でもしっかりと心がけている。
けれども、ミスは発生してしまう。何故でしょう?
仙台市役所の局区長時代に経験した2つの事案から、その原因を考えてみましょう。
【通常案件と同一視してしまう落とし穴】
お客様からの苦情対応で起こった出来事です。
担当課では、他の行政機関へ対応の可否を打診していたのですが、私のところへはしばらく日にちが経ってから、報告が上がってきました。
外部の行政機関に相談するのですから、先方に打診する前に「ほうれんそう」した方が、より安全だったかなぁ、と感じました。
【他課の仕事への影響を見落としてしまう落とし穴】
ある課の仕事の中で、外部の事業者にお願いしている事案に変更点のあることが分かりました。
変更点の影響は他課の仕事にも及ぶものでしたが、結果的に、当該変更点が他課の仕事には反映されない、という状況に至りました。
部内や局内での「ほうれんそう」が足りなかったかなぁ、という事案です。
【最大の落とし穴】
これらの事案には共通することがあります。それは…
「ほうれんそうの対象と認識されていない」
このことであります。
報告すべき事案、連絡すべき情報として認識されないがために、相談も無かった、ということです。
これこそが、「ほうれんそうの落とし穴」だと思います。
【アンテナを張ろう】
ですから、上司の皆さんは、部下からの「ほうれんそう」を漫然と待っていてはいけません。
窓口でのお客様とのやり取りの様子や電話での会話の状況などに、軽く注意を払うようにしてください。
私はこれを「アンテナを張る」と呼んでいます。
何か様子が変だな…などと、少しでも自分の中で引っかかるものがあったら、部下に一声かけてみましょう。
「あのお客様、どういったお話だったのですか?」
「今の電話は、どこと話していたのですか?」
トラブルの元を発見するケースが結構あると思います。
【危険やリスクに対する感度を上げよう】
「ほうれんそう」の落とし穴が生じる原因は、危険やリスクに対する「感度」が人によって相違することにあります。
例えば、在職経験37年の私と入庁して数年の若い職員の皆さんとでは「感度」がまるで違うと思います。
何せ失敗の数が違いますからね…
自らの失敗の経験を次の仕事に生かすことともに、私が心がけてきたのは「人の振り見て我が振り直す」こと。
一朝一夕には「感度」は上がりません。日々の経験を通じて、時に失敗をしながらも、レベルアップを心がけていってください。