ニュース以外、ほとんどテレビを観ない私ですが、NHKの「これがわが社の黒歴史」という番組は数少ないお気に入りです。
取り上げられるのは様々な大企業の失敗の過去。
話が話だけに取材に応ずる企業はそうそう現れず、半年から1年くらい間を空けてのスポット放送が細々と続いていました。
しかし番組の認知度が向上したのか、この夏は何と一挙に5本も放送されましたよ。
この番組の素晴らしいところは、失敗の構図を赤裸々に分析している点。
「とどのつまり、ここがよくなかった」という形で失敗を理解できますから、業種を問わず、水平展開が可能な作りになっているのですね。
これ、すごく大切なことだと思うのです。
自治体の仕事においても、他の自治体や他の部局がやらかした失敗の多くは、水平展開を図り、我がこととして受け止めることが可能だと思います。
大切なのは「とどのつまり」を発見すること。
組織の仕事としてどこに穴があったのかを見つけ出す作業でありましょう。
先日、仙台市において財政健全化判断比率などに算定ミスがあったとの報道がありました。
監査事務局がミスに気付いたとのことですから、
「第三者的にチェック可能な事項についてのチェックが担当部署において機能しなかった」
ということになると思います。
まぁ、私が監査委員を拝命していた2年間には見つけられなかった次第ではございますが…
私の不徳は私自身が反省することといたしまして。
本件を踏まえての注意点としては、
「基礎的な数値やデータの作成作業においても組織的なチェックを機能させる」
「当該数値等を作成するための根拠やルールなどを組織的に確認する」
などといったことになるのではないでしょうか。
黒歴史に学ぶ上で大切なことは、
「黒歴史を決して忘れない」
このことだと思います。
ミスを受けて改定された作業手順やマニュアルだけを継承していくと、原点であったはずの「失敗の重み」をいつの間にか忘れてしまいます。
忘れた瞬間に、失敗した当時にはあれほど重みがあり、重要であった作業手順が、他の諸々の手順と同じ位置づけにしか映らなくなってしまいます。
同様のミスを繰り返さないためにも「過去の痛み」や頂戴した「お叱りの重み」は組織的に継承していくが吉と考えます。
ちなみに、NHKの番組は、今週もこの夏6本目となる放送があります。