お詫びの流儀 その2

危機管理
写真提供:宮城県観光戦略課

トヨタ自動車の豊田章男会長が、グループで相次ぐ不正を謝罪した件。

「私自身がグループの責任者に」と決意を表明。

ニュースを見て、大変立派な態度だな、と感じ入りました。

 

グループで不正が相次いでいるとの報道に接し、私はいささか意外に感じておりました。

と言うのも、「トヨタの失敗学」という電子書籍を読んで、この会社は、社員が失敗することを恐れず、むしろ失敗を改善につなげていく組織風土を持っているのだな、と思っていたからです。

 

書籍の中で紹介されていたのが、「アンドン」という仕組み。

異常が発生した際、表示装置を点灯させる仕組みのことで、生産ラインにひもが垂れ下がっており、何かあれば、そのひもを引っ張ってラインを止めることになっているのだそうです。

感心したのは、

”アンドンのひもを引いてラインを止めた作業当事者は、叱られることはないということ。むしろ異常を発見し、アンドンを引いたら「よく引いてくれた」と言われる”

という組織文化。

 

”「放置」は悪である”という項目では、

”トヨタでは「バッド・ニュース・ファースト」が実践されています。つまり、都合の悪い問題こそ、隠さずに報告するということです。”

ともありました。

実に素晴らしいことで、そのうちこの書籍の内容を皆さんにご紹介しなくては、と考えていました。

なので、今回の一連の不正の図式は、私には意外に映りました。

 

豊田会長の謝罪は、実に立派だったと思います。

「責任者」という言葉を使っておられましたが、「しんがりの覚悟」が滲む内容でした。

官民を問わず、組織のトップはこうでなくてはいけません。

一点だけ惜しい!と感じたのは、ご自身が社長だった時代に完全子会社化したダイハツの不正についての経営責任についてのコメント。

「危機の連続で正直、ゆとりがなかった。」などと、少し言い訳がましい感じがあり、その点だけが残念でした。

やはり、「言い訳しない方がE訳」であります。

 

*参考文献

(株)OJTソリューションズ「トヨタの失敗学 「ミス」を「成果」に変える仕事術 Kindle版」(2016)KADOKAWA

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