危機管理において対極的と思われる事例をご紹介します。
片や東宝演劇、こなた宝塚歌劇団であります。
「SPY×FAMILY」が舞台になるくらいですから驚くには当たらないのかもしれませんが、「ジョジョの奇妙な冒険」がミュージカルになった、という話です。
「ジョジョ立ち」と呼ばれるあの不可思議なポーズを生身でどう演ずるのか?など興味は尽きません。
が…なかなか幕が上がりません。
複雑な演出で稽古が遅れたのだそうで、一部の公演が中止となりました。
しかし、そこからの一連の対応が素晴らしい。
謝罪のコメントに言い訳がましいところが無く、通常はチケット代金の払い戻しのみのところ、何と旅費や宿泊費まで負担するという方針を迅速に打ち出します
これは、かなり異例のことなのだそうです。
直前の中止決定には批判も多くありましたが、誠意の伝わる対応でした。
さらに素晴らしいのが、22日に打ち出された公演無料配信の方針。
中止になった公演のチケットを持っている人が対象です。
何しろ、幕が上がるや大評判となった舞台ですからね。
これは、私もチケットをゲットせねば…と思ったら、とうの昔に全公演完売なのであります。
であるが故の無料配信でしたか、なるほどなるほど…
一方、宝塚歌劇団のパワハラ事案は、危機管理の上では最悪でした。
劇団員が急死した問題に関して昨年11月に公表された調査報告書ではパワハラの存在を否定。
歌劇団の幹部職員は、「(いじめやパワハラの)証拠となるものを見せていただきたい」とまで言い放ってしまいました。
12月に入り、遺族側の代理人弁護士がパワハラの証拠だとする劇団員と家族とのLINEのやり取りなどを公表。問題点を指摘した意見書を歌劇団側に提出します。
12月18日、歌劇団は公式HPから当該調査報告書を削除。
2月23日には、歌劇団側がパワハラの存在を認め、遺族側に伝えていたことが報じられます。
歌劇団を運営する阪急電鉄の親会社である阪急阪神ホールディングスの会長が遺族に謝罪する方針と伝えられています。
危機管理においてよろしくないのが、
「不都合な事実の後出し」
であります。
そうした事実は無い、と断言するのならば、しっかりと裏を取り、万が一にも主張がひっくり返ることの無いよう確認することが大前提です。
現場の稚拙な対応で頭を下げなくてはならなくなったのは、親会社の会長さん。
しっかりと「しんがりの覚悟」を体現していただきたいところです。
その時の「お詫びの流儀」で、本事案に対する「申し訳ない度」が試されることとなるような気がしています。
【補足】
昭和なオヤジにとって、宝塚歌劇団と聞いて思い浮かぶのは「ベルサイユのばら」。
今年も夏に雪組公演が予定されているようです。