大正デモクラシー

仕事術あれこれ

一生懸命仕事をしているのだけれど、どうにもうまく進まない…

いしだあゆみの「あなたならどうする」を口ずさみながら、どこがいけないのか懸命に考えるのだけれども、ちっとも思い当たらない…

程度の差こそあれ、そんな経験をしたことはありませんか?

それはね…あなたが仕事にのめり込み過ぎているからなのです。

 

「一生懸命のどこが悪いのか??」

とあなたは思うことでしょう。

悪くはないのです。

が、「過ぎたるは…」という諺もありますからね。

少し距離を置いてみるのがコツと思います。

今回は、文字どおり距離を置いたら物事が解決した、というお話を差し上げます。

 

30代半ばの頃。

私は津々浦々のお寿司屋さん巡りをしていました。

実は野望があったのです。

文芸春秋社が発行した「ベスト オブ すし」という本に掲載された全国各地の名店の完全制覇。このことでありました。

まだ食べログなど存在しなかった時代のお話です。

 

名古屋に行った際、龍文という高級寿司店にお邪魔しようと考えました。

雑誌情報による客単価は2万円超。

30年前だと銀座の一流店でも1万5千円程度だったので、破格に高級なお店です。

さぞや立派な店構えなのだろう…と緊張しながらお店を目指しました。

 

地図アプリなどありませんから、雑誌に載っていた住所を頼りにテクテク…

住居表示は大切だなぁ…とこの時実感しました。

で、目的の地番のブロックにたどり着きました。

「すし 寿司 鮨」という暖簾や看板を探しながら、ブロックを一巡。

が、お店がありません!

そんな馬鹿な!と、さらに二巡しましたが見つからず。

高級な寿司屋ならそれなりの店構えのはずだから一目瞭然のはずなのに…

 

途方にくれて、反対側の地番ブロックへと道路を横断して振り返ると…

ありました!

ちゃあんと「龍文」の看板が!

ただ、その看板はアーケードの屋根の上にあったので、アーケードの真下を歩いている私には見えなかったのです。

さらに、お店の構えも思い込みとは真逆の質素な造り。

一見すると、古びたカウンターバーにしか見えなかったのです。

灯台下暗し。大正デモ…

というお話でした。

 

仕事との関係で申し上げると、この事例に学ぶべきは「思い込みの罠」であります。

「寿司屋だから、暖簾が出ているはず」

「高級店だから、立派な店構えのはず」

仕事にのめり込み過ぎると、こうした思い込みをしていること自体に気がつかないものです。

一歩下がって、客観的に仕事を見つめ直すことがコツと思います。

 

ちなみに、現在の龍文は価格相応の立派な造りのお店になっているようです。

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