「敵ながら天晴れ」という言葉があります。
私にとっての天晴れをお披露目しましょう。
【ウィントン・マルサリス】
JAZZトランペットの第一人者。
30年ほど前にハイドンやフンメルの協奏曲を演奏したCDが話題となりました。
演奏を聴いたモーリス・アンドレ(クラシック界における神様みたいな存在)が共演を申し込んだとのエピソードとともに華々しくリリースされたものです。
「パスパス」というJAZZならではのタンギング(舌使い)で演奏されるハイドンにはどうにも馴染めず、当時の私の評価は最低ランクでありました。
が、そこから歳月を経て、私の価値判断の尺度も変わりました。
【歌うように吹く】
楽譜に書かれた音符を演奏するための「理想の楽器」は何だと思いますか?
ピアノ?バイオリン?それともシンセサイザー??
いえいえ、私の考えでは「人の歌声」。これであります。
強と弱、硬と軟、光りと影…
凡そあらゆるニュアンスを人の声は表現してしまうのです。
そのような観点でマルサリスの演奏を聴き直すと、あら吃驚!
この方ほど自由自在に楽器を操り、まさしく「歌うが如く」音楽を奏でるトランペット奏者はいないのでありました。
楽器が身体の一部と化しているのでは?と思わせるほどの素晴らしい演奏です。
【もう一人の天才】
セルゲイ・ナカリャコフというトランペット奏者がいます。
「天うらら」というNHKの朝の連続ドラマのオープニングテーマを演奏した方です。
彼もまた華麗なテクニックを駆使し、10代のうちからたくさんのCDをリリースしました。
猛練習をこなすことで知られ、あるドキュメンタリー番組では一日に9時間!も練習すると紹介されていました。
が、彼の演奏はどこまで行ってもトランペットの枠の中。
同じ曲目で演奏を聴き比べると次元の違いは歴然です。
もちろん私の数億倍お上手ですがね…
なので、今日私はマルサリスの演奏に対して絶賛を惜しみません。
が、好きか嫌いかと問われれば話は別。私には「神様」の演奏こそしっくりときます。
【仕事における天晴れ】
管理職に上がって多くの部下を持つようになると、この「天晴れの境地」が大切だな、と感じるようになりました。
何度かお伝えしているように、仕事への対処の仕方は様々。
唯一絶対無二の解決方法などありません。
「人の数だけアプローチがある」と言っても過言ではないでしょう。
ですから、管理職である私は、たとえ自分の考えとは違うアプローチであっても、虚心坦懐に評価して有効と判断できるのであれば、その考え方を受け入れるべきです。
自戒の意味を込めて、そう思っています。
そうは言っても「趣味」の部分は上司優先です!
そこら辺は恨みっこなしでお願いしたいな、と思います。