お詫びの流儀・初動のツケ

危機管理
写真提供:宮城県観光戦略課

袴田さんへの謝罪で批判を浴びた検察庁に新たな動きがありました。

静岡地検の検事正が直接謝罪する、というものです。

しかし、この対応には色々と問題があります。

 

問題の第一は、検察庁のトップのコメントに対する謝罪を、トップ本人ではなくその部下が行う、ということです。

「検事正とは」とググると「全国に50ある地方検察庁に1人ずつ置かれています」とあります。

警視総監に対する県警本部長のような感じでしょうか。

この図式を自治体の組織に例えると、市長の失言を局区長がお詫びに伺うようなもの。

チャンネルが違う、と感じました。

「お詫びにおいては、当事者が謝罪すべき」

このことであります。

報道によると、検察サイドから既に謝罪の意思表示はあった、ということです。

検察の理屈を想像するに、既にその時点で検事総長としてのお詫びは済んでいる。今度の訪問は謝罪の上積みだ、ということでしょうか。

でも、私らは今回の報道があるまで検察庁が謝罪の意思を示した、ということを知りませんでした。内々の謝罪ということです。

果たして、世の中の評価はどうでしょうか?

 

問題の第二は、当初の検事総長談話の存在です。

「捏造と断じたことに強い不満を抱かざるを得ない」

との談話を否定するのか、そのまま維持するのか。

仮に、私がメッセンジャーの役目を仰せつかったならば、その点について「明確に取り消して全面的にお詫びする」との手札を求めます。

「先の談話については、外部に対して発信すべきものではなかった。この点、我々の対応は不適切であり、深くお詫び申し上げる。」

この一言を言わせていただけないのであれば、メッセンジャーの訪問は、かえって火に油を注ぐようなもの。

強く意見具申すると思います。

 

あれもこれもそれも。

全ては、お詫びにおける初動対応を誤ったからに他なりません。

検事総長談話における「不満」は、組織としてはある意味致し方ないところかもしれません。

が、それを外部に向けて発信してはいけなかったのです。

「お詫びにおける初動対応は、よくよく組織として吟味すべし」

まさに、このことでありましょう。

 

*参考文献

静岡地検の検事正、袴田巌さんに直接謝罪へ 無罪確定受け27日にも. 毎日新聞. 2024-11-20,毎日新聞デジタル, https://mainichi.jp/articles/20241120/k00/00m/040/303000c, (参照2024-11-24)

タイトルとURLをコピーしました