2004年11月初旬のことです。
私は、当時の上司であった奥山恵美子市民局次長に呼び出されました。
「明日の朝一番に顔を出しなさい」との直々の呼び出しですから、心穏やかではありません。
「おはようございます、奥山次長。私、何かやらかしたのでしょうか?」
「小林さん。あなた、明日から楽天を担当してください。」
「はい??」
そう、当時創設されたばかりの東北楽天ゴールデンイーグルスの担当課長を仰せつかったのでした。
【11月17日発令】
当時の私は、外郭団体に派遣されて国際音楽コンクールの担当課長を務めていました。
春先に第2回コンクールを終えて暇にしているだろう、とでも思われたのでしょうかね。
「明日から」との次長のお言葉ではありましたが、さすがにこちらの都合というものもありました。
第3回コンクールの課題曲や日取りを決定する有識者の会議が11月16日に予定されていたのです。
「17日以降なら」とお伝えしたら、本当に11月17日付で辞令が出ました…
【前例不踏襲】
スポーツ交流課に主幹として赴任すると、ご挨拶を差し上げるべき課長さんは不在。
ワールドカップバレーや女子駅伝などを抱え、あちこち飛び回っているのだそうです。
仕方がないので、勝手に「店開き」することにしました。
先ずは、オーソドックスに他都市の事例などを調べましたが、これは見事に空振り。
新球団の発足など数十年間無かったことなので前例なし、参考事例なし、でありました。
ここは発想を転換し、
「前例がないのだから、捉われるものもない」
と開き直ることにしました。
【錦の御旗】
ネーミングライツで宮城球場に愛称がつけられました。
東北各地からファンが訪れる、との当時の想定の下、球場まで車の誘導をどうするか、という課題が生じました。
私が懸念したのは、道路標識などにおいて正式名称と愛称を混ぜこぜで使用してしまう、という事態。
途中まで、フルスタ→フルスタ→フルスタ、と誘導されてきたのに、土壇場で「県営宮城総合運動場」などと表記されたのでは、「噂の東京チャンネル」的なノリで取り上げられて、物笑いのタネにされかねません。
当時は、味の素スタジアムなどの事例があったのみ。道路標識として扱うもよし、扱わぬもよし、という状況でした。
開幕戦までの時間がなかったので、白地に青の縦標識(正式に何と言うかは失念)を仙台市負担で設置することで先ず庁内の議論をまとめました。
これを全ての道路で使用するのですが、国が管理する国道への設置には、国の道路管理事務所の了解を得る必要がありました。
普段はなかなか敷居の高い場所なのですが、何と話は一発で通りました。
庁内の議論をまとめる時もそうでしたが、「楽天の件です」という一言が実に効きました。
水戸黄門の印籠みたいな感じでしたよ。
「虎の威を借る、は仕事のテクニックとしてあり!」
このことであります。
部長になってからは、「○○副市長のご指示です」とか「二役の了解を得ています」などと言って、庁内調整を進めたものです。
軋轢や陰口が皆無とは申しませんが、効果は絶大であります。
(続く)