知床観光船の沈没事故。
お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに、依然行方不明となったおられる方々の一日も早い発見を願うばかりです。
本事案における記者会見など一連の対応に関して「虎の巻」の観点からあれこれ思考してみました。
【時間が命の記者会見】
第一のポイントは、記者会見を行った時期。本件では5日目でした。
皆さんご案内のとおり、これは遅過ぎます。
会社に対する不信感を増長させるだけでした。
これを私たちの仕事に置き換えて考えると、事務処理のミスや不祥事への対応においての記者発表や記者レクは、
「事案を把握してから出来るだけ早く」
こういう話なのだと思います。
事案の詳細が不明ということは発表の遅れに対する言い訳とはなりません。
記者発表する時点において、知る限りの情報をお知らせすればよいのです。
【首尾一貫ノススメ】
遅ればせながらの記者会見で行った説明ですが…
会見後に新たな事実が明らかとなり、当初の説明が覆る事態が続発しています。
これもよろしくありませんでした。
信頼が下がることはあっても、上がることはありません。
いわゆるお詫び会見での最初の説明は大切です。
確認出来ていること、確認中であること、未確認であること、事実関係をしっかりと整理した上で想定問答を作成・勉強し、会見に臨む必要があります。
その際におススメするのが「いじわるばあさんの術」。
手前味噌で楽天的なQ&Aを作成する誘惑を断固排し、会見に臨む者にとって一番厳しい質問、一番聞かれたくない事柄を意地悪に思考するのです。
例えば、長期にわたって何かしらの予算の無駄遣いがあった、などという案件であれば、必ず「総額はいくらなのか?」と問われます。
しかし、仮に押さえている数字はあるものの、詳細は調査中だったといたしましょう。
そうした状況において、仮押さえしている金額をお答えするのかしないのか。
お詫び会見のその後を左右する重要な分岐点となるのかもしれません。
数字が独り歩きする可能性を含め、ここは議論のしどころなのです。
課長レベルでQ&Aをこさえるのではなく、最低でも局区長が主体的に関り、必要であればニ役のお知恵も拝借すべきでしょう。
「お詫び会見の想定問答は、組織の総力を挙げて意地悪思考で作成すべし」
まさに、このことであります。