「課長、例月作成する統計資料の決裁をお願いします」
「表の合計などの計算は大丈夫かね?」
「Excelで作成しましたから大丈夫です」
「そうだな、では押印」
(ポン!)
危険ですね!どこが危ないと思いますか?
Excelという表計算ソフト自体は間違いを起こしませんが、それを使用する人間さまが盛大に間違いをしでかします。
例えば、例月作成する統計資料であったとしても、年度が替わって集計する項目に変更があるかもしれません。
冒頭の事例に登場した課長さんは、「例月」という説明に対して「何か変更となった個所は無いのか?」などと確認すべきでした。
集計シート自体に保護をかけていなければ、誰かがうっかりとファイルを開いてしまい、計算式の一部を誤って変えてしまう、などという可能性もゼロではないでしょう。
ですから、表全体でなくともよいので、どこか数行、数列を抜き出して、手計算でのダブルチェックを指示する必要があったと思います。
ある自治体で発生した保育園への補助金の誤給付は、まさにそうした事案の典型でした。リンク(朝日新聞デジタル)
パソコンソフトで補助金の額を算定したものの、当該ソフトの計算が正しいかどうかのチェックを怠っていた。担当者以外の職員がチェックしていなかった、というもの。
4,630万円の事案でもそうですが、これは担当者のミスであると同時に、組織としてのミスでもあるのです。
ゴルゴ13的にギルティ―度を考えれば、私の感覚では、決裁権者の責任が一番重いと感じます。
結局、こうしたお話は「ダブルチェックをチェックする」というお題と同質なのだと思います。
決裁に際して、
「これはダブルチェックしましたか?」「ハイ」「では押印」(ポン!)
という会話を交わしている間は、事務処理のミスは永久に無くなりません。
どういうチェックを誰がしたのか、決裁権者は具体に確認すべきです。
表計算の類の業務であれば、手作業で計算していた時期のデータをダミーで入力して同じ結果が得られることを確認しているか、とか。
統計の類であれば、前年度や前月の欄の数字を過去の統計資料と突合させているか、とか。
「念のための検算、アナログのチェックを忘れない」
まさに、このことでありましょう。