ある自治体で現職議員があっせん利得処罰法違反容疑で逮捕された案件。
議員から職員への口利き依頼があったことを受け、再発防止策として会話録音の導入を含め、議員と接触した際の記録作成をルール化する方向との報道がありました。リンク(河北新報オンラインニュース)
ちょっと心配な感じがします。
心配の第一は、記録作成の対象に係る線引き。
議員との接触は職務として行うことが普通で、これは記録するがこちらは記録しない、というラインの設定やルール作成に当たっての文章化が難しいように感じます。
人によっては議員と個人的に親しくなり、いわゆる飲みニケーションでのお付き合いもあり得ることでしょう。
職務でないことは明白ですが、そうした機会に口利き依頼があった場合はどうなるのだろう?などとも考えてしまいます。
もう一つの心配は、事務作業量の増大。
電話でのご説明を含めれば、議員との接触はそれなりの回数、時間になると思います。
メモを作成するにせよ、録音するにせよ、記録するとなると相応の業務量になってしまいます。
録音した場合など、データベース化するのも一苦労しそう。
これらは公文書ということになるのでしょうから、その管理や開示請求への対応といった問題も生じます。
一番の心配は、お互いに本音で語れなくなってしまわないか、ということ。
特に、録音して記録するケースが心配です。
話し言葉というのは、ある意味大変恐ろしい代物。
話をしている当事者間で共有されている前提条件が第三者には分かりませんから、時に言葉が独り歩きする懸念も生じます。
どうも、この件は「羮(あつもの)に懲りて…」の感を禁じ得ません。
どの自治体でも、議員との接触状況について、記録すべきケースはきちんと記録が作成され、組織として共有されてきていると思います。
ある意味、記録作成に関する漠たるルールは既に存在するのです。
むしろ、この案件の本質は、議員からの口利き依頼について、組織として対応出来ていたか否か、という点にあるのでは。
万一、議員からの不当な要求や圧力があった場合でも、接触した職員が個人として悩むのではなく、速やかに上司に報告・相談出来る。
そうした組織風土や仕事の仕組みづくりが本筋のように思います。
まぁ、外野が心配しても詮無いことではありますが。