ふるさと納税。総務省の調査によると全国で8,302億円、4,447万件と右肩上がりで利用が増えています。
かねて、この制度には釈然としないものを感じておりました。
仕事の虎の巻の視点で考えてみました。
【損その1】
巷間問題視されているのは、大都市を中心とした財源流出の問題です。
川崎市では何と103億円、世田谷区は87億円ですって。
75%が交付税措置される制度なのですが、両自治体は不交付団体のため国からの補填も受けられません。
まさにダブルパンチなのでございます。
仙台市はどうか…と市議会の議事録を眺めると、2年ほど前の議論ですが21億円とありました。
【損その2】
ふるさと納税を受け入れた自治体は丸儲け…かと思えば、そういう話ではありません。
返礼品の仕入れや送付などに係る経費として50%ほどが費消されるのだそうです。
つまり、ふるさと納税を受け入れた自治体も半分損しているようなもの。
このことは、あまり声高には喧伝されてはいませんが、重要なポイントだと思っています。
【損その3】
ふるさと納税を利用した方が収めた税金。
本来はその全額が公共事業や福祉事業などに使われるのが正しいあり方でありましょう。
しかし、その半額は返礼品の購入費などに使われてしまいます。
納税という視点から眺めると、納税者自身もやはり損をしているように私には映ります。
【三方一両損の怪】
結局、ふるさと納税制度は、各セクターがそれぞれ損をするという奇怪な図式にあるのです。
しかし、人気は右肩上がり。
余程の事態に陥らない限り、大都市における財源流出に歯止めがかかることはないでしょう。
仙台市は、かねてふるさと納税には一定の節度の下に対応してきたように思います。
そのことは私も是とするところではありますが、毎年度20億円以上が流出するのであれば、防衛的な意味合いでの取り組み強化はありかなぁ…などとも思います。
仙台には牛タンや仙台牛というキラーコンテンツがありますからね。