第8回仙台音楽コンクールが開催中です。リンク(仙台国際音楽コンクール公式ホームページ)
3年に1度開かれるものですが、今から20年近く前、第2回大会を課長として担当しました。
ヴァイオリン部門の予選の演奏をYouTubeで視聴していて思い出したことをあれこれ。
【傾向と対策の日々】
私がコンクール推進課長を拝命したのは開催1年前。
9月には予備審査があり、11月末からパリ、ウィーン、上海、仙台、ニューヨークの5都市でオーディションが始まる、という段階でした。
赴任して、先ずは第1回コンクールのおさらいをしました。
担当者ごとに詳細なレポートが残されており、反省点が数多く記載されていたのです。
全てに目を通した後、後任の担当者(つまり第2回の担当者)らに
「次回は××すべきとレポートにはあるけれど、第2回ではどうすることにしたのか?」
と問いかけると、
「いえ、特に何もしていません。」
という素晴らしい回答が一様に返ってきました。
つまり、このまま漫然と準備を進めていくと、前回失敗した部分をもう一度繰り返す恐れが多分にある、という訳です。
私と一緒に異動してきた係長にお願いして、レポートで指摘されたポイントをExcelで全てリストアップ。
優に100項目以上はあったように思いますが、それらについて、第2回での対応方針と実施状況の欄を設けて、進行管理することにしました。
最終的には空欄は無くなったと記憶します。
「備えあれば憂いなし」
イベント開催に際しての金科玉条と思います。
【チャレンジャーズライブの実現】
どうにか出来ないかな、と考えたのが、セミファイナルなど先の段階に進めなかった出場者との関わり。
世界中から才能あふれる若者達が40名近くも仙台を訪ねてくださるのに、30名近くの方々は予選を演奏するだけで仙台を離れてしまうのです。
そこで考えたのが、「チャレンジャーズライブ」と「学校訪問コンサート」でした。
各出場者はそれぞれレパートリーを持っているはずなので、演目に事欠くことはあるまいと踏んだのです。
しかし、企画運営に係る専門家の先生方からはなかなか芳しいご意見をいただけません。
予選で落ちるということで出場者は傷ついており、そこに演奏を持ち掛けるなどもってのほか、という論調でした。
20年近く前のことなので記憶が定かでないところもありますが、たしか、出場者に企画趣旨を説明する文書を送り、ご協力いただけるかどうかお一人ずつ確認することにして、何とかゴーサインをいただいたように思います。
案ずるより…という言葉がありますが、結果的には、多くの出場者が関心を示し、両企画は無事に開催の運びとなりました。
この企画が実現した舞台裏には、僅かな準備期間(ほぼ数日…)で出場者のレパートリーの伴奏を準備するという離れ業を演じた地元のピアニストの方々の超人的な活躍があったことは是非とも付言しなければなりません。
あれから20年近く経ちましたが、今回も「チャレンジャーズライブ」は健在です。
第8回仙台国際音楽コンクールの大成功を心より祈念いたします。