福岡県議会のニュースが連日報道されています。
危機管理の観点で考えてみました。
まずは、元議長経験者らが「議長就任前に自民党県議団幹部から現金を要求され、支払った」と証言した際の当事者とされるN氏の最初のコメント。
「事実無根」
と全面否定でありました。
しかし、直後に音声データが公開されると、「信憑性が乏しい」と発言。
報道機関が専門機関による声紋鑑定を実施し、99.99%以上の確率で本人の声であるとの結果が報じられると、「今どきAIでなんとでもなる」と釈明。
鑑定ではAI生成や部分的な裁断の可能性が明確に否定されていることを指摘されると、「科学的にそうなら、私の言ったことなんでしょうね」「私の声紋なんでしょう」「その会話もしたんでしょう」とたちまち追い込まれてしまいました。
結局、この方は議員辞職に至ります。
後出しジャンケンで考えると、この事案は、
「後になって不都合な事実が明らかになる可能性」
を十分に考慮していなかったのだと思います。
音声データの存在など念頭に無く、それであるが故に「事実無根」との最強カードを切る、という初動対応を選択したのでしょう。
もう一点。疑惑解明の枠組みについて。
県議会は、当初から「第三者を入れた調査」の実施を掲げています。
しかし、これは「日本弁護士連合会のガイドラインに基づく第三者委員会」とは根本的に異なります。
前者の調査主体は議会であり、後者は独立した委員会です。
議長は、「いろいろな方々に聞くと、我々がやろうとしていることの方がいいのではないか」「一日も早く解決するようにという声をもらっている」などとコメントしていますが、さて、これも危機管理のあり方としてはどうでしょう。
この間、知事の対応には変化がありました。
当初は、議会の考えに理解を示すとともに、政治資金パーティ券を幹部職員の親睦会が購入していた問題や高額な海外出張について、議会と同様のアプローチで調査する考えを示していました。
しかし、日ごとに高まる批判を受けて方針を転換。日弁連のガイドラインに基づく第三者委員会の設置を表明します。
議会も知事も「早期に実態解明が必要だ」とのロジックで出発しているだけに、知事の方針転換は議会にとって痛手でしょう。
後出しジャンケンで申せば、この事案は、
「落としどころを見誤った」
のだと思います。
「早期解明」を錦の御旗に…との思惑が外れてしまいましたが、さて、どこまで頑張れるのでしょうか。
