いわゆる「338億円問題」―兵庫県において、公共用地先行取得等事業債490億円のうち、土地売却収入が生じていた338億円についても全額を借り換えた問題が話題となっています。
これが「主な要因の1つ」(知事のコメント)となって、兵庫県が早期健全化団体に転落する可能性が生じているというのですから穏やかではありません。
で、早速調べてみました。
県が設置した「持続可能な財政運営検討会」に提出された資料によると、「最大0.8%(単年度、3か年平均)悪化」とあります。
決算カードによるとR6の実質公債費比率は17.1%。これに単純に0.8%を加えても18%に達しません。
早期健全化基準は25%…
残りの7%はどこから来るのでしょう。
別の資料にその答えがありました。
「試算モデルの変更」
これであります。
小難しい話を敢えて単純に申し上げると、
- 経済成長率については現行のモデルと同じだけれど、
- 金利については実勢との乖離があるので、そこを厳しめに見る。
モデルには案1(まぁ妥当)と案2(厳しめ)があり、県は案1による財政運営をしていきたいのだけれど。
試算してみると、案2の場合、3か年平均の実質公債費比率が25%を超えて早期健全化団体に転落する見込みとなった。
案1の場合でも、単年度で25%を超える年度がある。
こういう話であることが分かりました。
さらに言えば、「338億円問題」の影響を除外しても、R14年度には早期健全化団体に転落する試算となっています。
なので、兵庫県の財政危機を「338億円問題」だけで説明することはできません。
そもそも、兵庫県の県債残高は4兆円規模なのです。
地方債の償還期間が20年から30年程度であることを考えると、本件は、ここ数十年間の財政運営の積み重ねなのだと思います。
調べてみると、斎藤県政において、普通建設事業費、取り分け単独事業費の決算額は、それまでに比べて抑制的です。
斎藤県政発足後、普通建設事業費は令和3年度の約2,850億円から令和5年度には約2,382億円へ、単独事業費も約933億円から約783億円へ減少しています。
でも、実質公債費比率の悪化に歯止めをかけることが出来ませんでした。
「飛び出すな 車は 急に止まれない」
これは昭和40年代の交通安全の標語ですが、自治体の財政運営は、大型タンカーを操舵するようなもの。
急に方向を変えようとしても変わりませんし、急ブレーキをかけることなどままなりません。
兵庫県は、投資規模を現行から最低でも10%抑制する方針を示しています。
地域経済に直結する問題でもあり、難しいかじ取りが続くのだろうと思います。
であるからこそ、「338億円問題」を振り返るのではなく、今後の健全な財政運営に向けて限られた資源を投ずるべきではないのかな、と感じました。
何故なら、「338億円問題」は実質公債費比率悪化の本質ではないからです。

