今から30数年前、入庁して5年目の春。
私はリバサイド市役所で研修生として働いていました。
在籍したのは人事部。
異なる文化における地平線の違い=常識の違いを肌で感じました。
【終身雇用制度の無い世界】
30数年前の我が国では、終身雇用が当たり前。
ところが、リバサイド市職員の給料表を見て吃驚しました。
在職年数に伴って昇給する期間が5年程度しかありません。
6年目以降は何年勤務しようと処遇が変わらないのです。何故でしょうか?
答えは「職階制」にありました。
事務職Ⅰ、事務職Ⅱ、管理職Ⅰ、管理職Ⅱなどという感じで、職種が細かく設定されており、よりよい処遇を求める人は、その都度、就職活動を行うのです。
新たなポストを求めて、あちこちの自治体や民間企業を転々とする。これが米国では常識なのでした。
【NAINAI履歴書】
人事部では、職員採用のための応募書類の様式の見直し作業を担当しました。
照会文書を各機関へ出して、こちらの問題意識などについての回答を求め、参考資料として当該機関の応募書類を送っていただく、という段取り。
「自由と平等の国・アメリカ合衆国」は、様々な差別との戦いの国でもありました。
障害の有無は勿論、人種、性別、年齢などに基づく雇用上の差別が禁止されています。
結果、応募書類からは以下の項目が無くなっていました。
「性別、生年月日、国籍、障害の有無」、そして「顔写真の添付」。
代わって重視されたのは、学歴や職歴、資格の欄です。
自由と平等、そして職階制度を煎じ詰めると、そのような様式になっていくのでした。
日本人の感覚としては、いくら何でもやり過ぎと感じますが…
逆に、日本の履歴書を米国の人事担当者に見せたら卒倒するかもしれません。
【仕事における地平線】
帰国後の業務経験も加え、国の数だけ地平線があるように、人の数だけ地平線があることに気がつきました。
例えば、終身雇用制度について説明するとしましょう。
相手が米国人の場合と日本人の場合とでは、説明の仕方が全く異なると思います。
何しろ米国人は全くそのような仕組みを知らないのです。
「米国では、このような人事制度が一般的だけど、日本では…」
といったところから説明を始めないといけません。
これは、普段の仕事において説明資料を作成する時も全く同じことです。
コツは、「相手がどこまで知っているか、理解しているか」をよく考えて、説明を開始するポイントを適切に選択すること。
より質の高い仕事を心がけるならMustの作業と思います。
